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通話

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  • サイズ B6判/ページ数 249p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090039
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

内容説明

『通話』―スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と“僕”の奇妙な友情を描く『センシニ』、第二次世界大戦を生き延びた売れないフランス人作家の物語『アンリ・シモン・ルプランス』ほか3編。『刑事たち』―メキシコ市の公園のベンチからこの世を凝視する男の思い出を描く『芋虫』、1973年のチリ・クーデターに関わった二人組の会話から成る『刑事たち』ほか3編。『アン・ムーアの人生』―病床から人生最良の日々を振り返るポルノ女優の告白『ジョアンナ・シルヴェストリ』、ヒッピー世代に生まれたあるアメリカ人女性の半生を綴る『アン・ムーアの人生』ほか2編。

著者等紹介

ボラーニョ,ロベルト[ボラーニョ,ロベルト][Bolano,Roberto]
1953年、チリのサンティアゴに生まれる。現代文学に欠かすことのできないラテンアメリカ作家の一人。1968年、一家でメキシコに移住。その後、エルサルバドル、フランス、スペインなどを放浪して青年時代を過ごす。詩人として出発し、1984年に小説家としてデビュー。『通話』Llamadas telef´onicas(1997)でサンティアゴ市文学賞を受賞。1998年に発表した長編小説Los detectives salvajesで同年のエラルデ小説賞を受賞、さらに1999年にはロムロ・ガジェゴス賞を満場一致で受賞した。その後も重要な作品を次々と発表するが、2003年、世を去る

松本健二[マツモトケンジ]
1968年生。大阪大学世界言語研究センター講師。ラテンアメリカ文学研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

91
初めて読むチリの作家ボラーニョ(1953 - 2003)。訳者あとがきに、「ウディ・アレンとタランティーノとボルヘスとロートレアモンを合わせたような奇才」とある。売れない作家に詩人、警察と密告者と貧困から逃げている人、ポルノ女優など、いろいろな人物が登場し、饒舌な語り口で彼らの人生を切り取ってみせてくれる。そこにあるのは、人生の落伍者がもつ悲哀。スペイン語圏を放浪するようなこの短編集に魅せられて、次の1冊をまた探すことにしよう。2023/07/30

巨峰

64
わりと読みやすく、一部二部は興味深く面白かった。女性がテーマの三部は少し飽きた感じがしました。スペイン語系小説家についてはほとんど知らないけど、彼らの生活を描いた短編などはなかなか他では読めないのではないでしょうか。全体的に実話だったり現実のモデルがいるのかな?と思わせるものもが多かったです。機会があれば別の作品も読んでみたいです。2016/09/19

藤月はな(灯れ松明の火)

41
「通話」からなる短編群で佐藤友哉氏の『灰色のダイエット・コカコーラ』以降の作品になんか似ていると感じました。そしてマニエル・プレイグの「蜘蛛女のキス」のように会話劇だけで進む「刑事たち」で徐々に明らかになる暴力的な無軌道さというファクターは遺作となった「2666」に繋がったのかなと思います。 2013/08/03

長谷川透

39
ボラーニョが奇才と言われる所以がわかる一冊。『通話』という表題作の語が象徴するように、この書と読者との間の対話には、電話越しでの会話のような、何かの意思疎通を達成しながらも覚えてしまう物足りなさ、何ものかが欠けているような不気味さがあるように思う。著者の書く短篇の多くは事後報告で、事の次第の軌跡である。通話の際に一方が語る間に聴き手が間髪入れる機会を探るのが困難なように、事の顛末のポイントを探るのが困難だ。個人的には「センシニ」が一番面白く他作品でもボラーニョの巨作『2666』との接点も覗え満足している。2012/12/18

zumi

32
ボラーニョが耳を傾けるのは、周縁で生きる者たちの声だ。一人一人に、生死を彩る物語がある。日の当たらない世界で生きてきた、無数の人々の声はどこまでも広がっていく。『Antwerp』序文の一節ーー「書かれている文章が自己増殖していく」、といった文ーーを思い出さずにはいられない。本書の語りは、まさに自己増殖そのもの、テクストがざわめいているようだ。終わることなく詩を謳うように、あるいは話しかけるように語られている点が良い。「芋虫」が特に素晴らしい。2015/02/12

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