出版社内容情報
主人公のホールデンは16歳。なにもかもがイヤになって、ニューヨークの街をさまよう物語「ライ麦畑でつかまえて」を、小説家の村上春樹があらたに訳しました。村上春樹版「ライ麦畑」の新しい魅力を、ぜひあじわってください。
内容説明
J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
大学2年後期の教養英語のテキストがこれだった。それまで、テキストは正当的な(?)英文ばかりだったので、この作品には驚きもし、大いに新鮮でもあった。例えばここには"No kidding"なんていう表現が度々出てくるのだ。原文と対照させていないので、間違っているかもしれないが、村上春樹はこれを、彼のエッセイでよく使う「やれやれ」と訳している。これだとホールデンの若さと攻撃性がいくぶん弱まるように思うが、どうだろうか。全体としては、訳注も付いていて、サリンジャーを感じてもらいたい想いが伝わってくる丁寧な訳だ。2012/09/09
茜
141
思春期頃に野崎孝さんの訳で読んだのだが、村上春樹さんの新訳版というので読んでみました。読んだ感想としては何故かどれ一つとして響かなかった。それは多分訳者のせいではなく、ただ単に私が歳をとって思春期特有の豊かな感受性がなくなってしまったせいだと思います。現在思春期を迎えている方々にとってはホールデンの言う言葉や考えている事、行動に共感することが出来ると思います。今回読んで思ったのは「ホールデン、君はカウンセリングを受けるべきだと思うよ。実際の話。」って感じでしたwww2021/02/17
ケイ
132
「大人はわかってくれない」の米国版にも思えるが、こちらはブルジョワの匂いがプンプンする。少し我慢して大人の決めたルールに従えばいいのに、どうしても外れてしまう。反抗しているようで、お金がないと身動きできないお坊ちゃんだ。大人のつもりでも、シスター達を見ると無意識にすがり、飛降り自殺した同級生の事に誰よりも傷つき、そんな子供を受けとめてくれる大人を求めているナイーブな少年なのだ。妹のかたくなな優しさにはこちらも癒される。主人公の語りは、語られる相手によって受け入れ方も変わるだろう。2014/02/17
buchipanda3
117
「相も変わらずのコールフィールドだ」。米東部の名門校を退学させられたホールデンが味わったくそったれな数日間の回想小説。居場所を求めて彷徨う姿が痛々しいが、いかにも粋がってますという素朴な様にユーモラスさがあり、軽やかな文体に惹き付けられた。彼は半分大人、半分子供。ただ自己を認めるのがしんどかったのでは。他人をシビアに評する彼。自分への目も誤魔化せない。無茶な行動で自分を逸らす。キャッチしたかったのは自身なのかも。大人も子供も関係ない、自分は自分。木馬にだって乗って構わないけどね。フィービーのキャラが良い。2022/07/25
みゃーこ
98
永遠の私の聖書。だけど、、う~ん、口の悪さがやっぱり野崎訳の方が私は「ホールデン感」が出ている感じがした。もちろん表現が古いんだけど、 放送禁止用語が原語のまんま飛び出していたりとかするけど、私はそこも日本語に訳してほしかった。この原語を「×××ショウ」と訳した野崎の訳はあまりにも衝撃的だった。ホールデンの純粋さを考えるとその言葉がいかに現実の人間のいやらしい部分を嫌悪しているかをこれでもかというほどモロに出すことで読者に伝えようとしている訳者の意図が伝わってきたので。しかし作品自体がすごいのでやはり感動2013/06/23