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太陽の肖像 文集

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  • サイズ A5判/ページ数 381p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784560084960
  • NDC分類 740.4
  • Cコード C0095

出版社内容情報

戦後を代表する写真家、初のエッセイ集。自叙伝をはじめ、写真家として核となる思考の流れを辿る。代表写真45点を収録した決定版!

戦後を代表する写真家、初のエッセイ集
 長崎県沖の軍艦島と熔岩に埋もれた桜島でたくましく生きる人々を捉えた〈人間の土地〉、北海道の修道院と和歌山の婦人刑務所の孤独な空間で人間の存在を見つめた〈王国〉などで知られる、日本写真界の巨匠・奈良原一高。本書は文筆にも定評のある奈良原の文章を初めて集成し、作家の全貌を伝える待望の一冊。
 満洲事変の年に生まれた奈良原は、中学一年で学徒動員され、死と隣合せの日常を過ごす中で敗戦を迎えた。「不毛それ自体が生きていく手がかりとなりはじめた」――無力感にとらわれながらも、自らの心情を重ね合わせるようにカメラのファインダーを覗き、生を模索していったのだ。そのありのままの思いが伝わってくる。
 デビューまでの自叙伝をはじめ、欧州を駆け巡り改めて日本文化を見つめ直した60?70年代、そして自身の入院経験をもとにX線写真やCGを生かした近作までの思索の軌跡を辿る。ダイアン・アーバスが自殺する直前にNYで行なわれたワークショップの記録には息をのむ。
 巨視的な視点で生と死を見つめ、写真表現の最前線を切り拓いてきた奈良原の歩みは、日本の戦後写真史、ひいては戦後史そのものだといえる。そこには、瑞々しい感性でとらえた生きる歓びと静かな情熱が溢れている。代表写真45点収録の決定版!

序にかえて 青白い火花 奈良原一高  福島辰夫

第一章 廃墟からの旅立ち
 ?T 無国籍地
    ある未知への発端
    無国籍地・ルネッサンス
 ?U 人間の土地
    私の方法について
    緑なき島――軍艦島
    火の山の麓――黒神村
 ?V 王国
    二十年目のあとがき
    沈黙の園
    壁の中

第二章 もうひとつの僕にいたるまで
 自叙伝――もうひとつの僕にいたるまで
 写真に触れた頃
 東松照明の「ヨネ的感覚」

第三章 ヨーロッパの詩(うた)
 ?T ヨーロッパ・静止した時間
    手のなかの空
    ヨーロッパ便り
    ヨーロッパ四万七千キロ
 ?U スペイン・偉大なる午後
    約束の旅
    偉大なる午後
    フィエスタ
    バヤ コン ディオス VAYA CON DIOS

第四章 ジャパネスク
 ?T 今様日本語り
    「近くて遙かな国」への旅
 ?U 日本圖譜
    城下町/能/色/刀/角力/富士/禪/句景

第五章 Ikko's AMERICA
 ダイアン・アーバスと僕(イッコー)――一九七一年のノート
 ロック・フェスティバル――生きる歓び Celebration of Life

第六章 時空の翼
 ?T 消滅した時間
    水のない海
    コロンブスへの道
 ?U 華麗なる闇
    ヴェネツィアの秘密
    オリエントへの扉――黄金の薔薇の時間

第七章 身体という宇宙
 ?T 空
    見えない光線
 ?U 円
    「眺め」の彼方
 ?V 天
    Notes
 ?W Tokyo,the '50s
    はじめて街を歩いた頃
 ?X ポケット東京
    街が輝くとき

 あとがきにかえて ふたすじの蒼い風  勝井三雄

 奈良原一高年譜/初出一覧

【著者紹介】
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内容説明

戦後を代表する写真家、初のエッセイ集。代表写真45点を収録した決定版!13歳で敗戦を迎え、“人間の土地”でデビューするまでの自叙伝をはじめ、巨視的な視点で人間存在を見つめた半世紀に及ぶ思考の軌跡。

目次

第1章 廃墟からの旅立ち
第2章 もうひとつの僕にいたるまで
第3章 ヨーロッパの詩
第4章 ジャパネスク
第5章 Ikko’s AMERICA
第6章 時空の翼
第7章 身体という宇宙

著者等紹介

奈良原一高[ナラハライッコウ]
写真家。1931年、福岡県生まれ。54年中央大学法学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科芸術学専攻修士課程に入学。55年に池田満寿夫、靉嘔ら新鋭画家のグループ「実在者」に参加。56年個展「人間の土地」を開催、写真家として活動を始める。58年個展「王国」で日本写真批評家協会新人賞受賞。59年早稲田大学大学院修了。同年、東松照明、細江英公、川田喜久治、佐藤明、丹野章らとセルフ・フォトエージェンシー「VIVO」を結成。(61年解散)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

71
今年88歳逝去で初めて知った。世界的な写真家の文集。写真も素晴らしいが、味のある言葉が並ぶ。「無国籍地」から「人間の土地」「王国」に至る初期。欧州にて「静止した時間」スペインを題材に「偉大なる午後」、日本を写す「ジャパネスク」。1970年NYを拠点としMoMAに作品が収められた。「ヴェネチアの夜」の後、「円」「天」を発表。13歳の終戦から、彼にとってもうひとつの世界が始まる。写真は過去の記録ではなく、意識的無意識的に来たるべき未来を見るもの。モノクロの切り取られた世界はカメラを通じて奈良原の視点を写す。2020/02/23

tom

18
著者は幸せ者。大学生のとき写真を撮り、それを組み合わせて個展を開いたことが、その後の写真家生活の始まり。今の時代に、このくらい幸運な人がどれだけいるだろうか。写真家志望の人たちからは、羨望と嫉妬のまなざしが飛んでくること間違いなし。掲載されてる写真も、とても美しい。こんな写真が撮れるなんて、ひたすらうらやましい。それはともかく、彼がアメリカにいたとき、ダイアン・アーバスのセミナーに参加したときの記録が載っていて、これがめっぽう面白い。セミナー参加は、自分の写真を見直すためとのことだけど、これもすごいなあ。2020/07/04

Happy Like a Honeybee

6
写真とはunexpectedなもの。それまで培った技法を変えるため、当時は無名のダイアンアーバスと写真観を巡る経緯が印象的。ワークショップへ通学後、彼女は自殺を遂げる。存在を切り取る写真家と時空間を切り取る写真家。古今東西の優れた写真家も、いつかは消えゆく存在である。写真だけが後世へ語り継がれて…。2016/12/17

mizzan72

5
奈良原さんの「消滅した時間」という写真集に心を動かされた。続いてこの「太陽の肖像」を手に取り、写真から受け取った、奈良原さんその人を少しでも感じたいと思って、読み進めました。文章が巧い。自分に正面から向き合って、もがいている人間が書く文章である。特に、ダイアン・アーバスのワークショップに参加したあたりのエピソードが、良かった。奈良原さんだけでなく周りに居る人々がそれぞれ、写真にどう向き合っているのかが感じられて、刺激になった。2019/01/21

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