出版社内容情報
欧州大戦を俯瞰しながら、ポーランド史の文脈に「蜂起」を位置づける。欧米各紙誌が激賞、英国の重鎮による圧巻の書。
【著者紹介】
1939年生まれ。中欧・東欧地域専攻の英国の歴史家。著書にWhite Eagle, Red Star : The Polish-Soviet War 1919-20など多数。
内容説明
欧州大戦全般を俯瞰しながら、ポーランド史の文脈に「蜂起」を位置づける。肉声が伝える臨床感、抵抗運動の真実に迫る決定版。激闘の市街戦から戦後の抑圧まで、現代史の必読書。
目次
第2部 蜂起(ワルシャワ蜂起(続き))
第3部 蜂起の後(敗者は無残なるかな―1944‐45;スターリン主義体制下の抑圧―1945‐56;蜂起の残響―1956‐2000;中間報告)
著者等紹介
デイヴィス,ノーマン[デイヴィス,ノーマン][Davies,Norman]
1939年生まれ。中欧・東欧地域専攻の英国の歴史家。とりわけポーランド史の権威である
染谷徹[ソメヤトオル]
1940年生。東京外国語大学ロシア語科卒。ロシア政治史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
55
”戦後”の解釈と、国家主権の意味。大戦における大国の思惑が齎す傀儡政権。「W時」蜂起軍の評価も、時代に飲み込まれる感。ナチス、赤軍、そして傀儡政権のたらい回しが、読むに堪えない。文化の破壊。戦勝国のはずが、敗戦国のような処遇。ポーランドのためにドゴールがスターリンと対峙する件が、留飲を下げる唯一の政治場面。Wyzwolenie、解放とは領土ではなく、心の開放と信じる。故に63日間の蜂起は、コンラッド的精神。ポーランド民族の誇り!東欧の歴史の知識不足を痛感。勉強せねば!2016/05/05
BLACK無糖好き
9
ワルシャワ蜂起についての歴史的評価は様々あるようだが、著者が言うように、死を厭わない蜂起兵たちの行動は、「人生には生命よりも貴重なものがある」というメッセージを残したのかもしれない。しかし歴史家の中には蜂起は無謀な失策だったとの批判も少なくないようだ。著者はその点についても詳細に分析を試み、更に連合諸国が蜂起に効果的に関与できなかった点を鋭く考察している。西側指導者がいかにワルシャワの悲劇の進行を見守るだけだったかを膨大な事象を提示しながら迸るような筆致で綴った「終章」に、著者の意地を感じる。熱いです。 2016/01/27
スー
8
映画の遠すぎた橋でジーンハックマン演じるポーランド将校の英軍に対する態度が気になっていました。この本を読んで納得しました。下巻は援護の無い中絶望的な戦闘を続けた蜂起軍が降伏する。これは終わりではなく更なる不幸の始まりでした。ソ連はゲシュタポが子供と感じる程、徹底的に元蜂起軍のメンバーを探し、逮捕、拷問、処刑していきます。英雄だったロマン大尉も処刑されました。参加者のなかでも蜂起は愚策か正しかったか議論があります。蜂起の時、軍は摘発を恐れ武器を分散させていた為に絶望的に武器が不足し当初一週間持つかどうか2017/07/05
陽香
2
201211102016/10/05
キミ兄
2
ソ連軍が迫り解放が目前となって蜂起したポーランド国内軍だが、ビスワ河を挟んでソ連軍が急停止。ナチスになぶり殺しされた国内軍は結局投降。本当の裏切り者は誰だったのか。在英ポーランド亡命政権か、英米か、ソ連か。 未だに不明な点が多く、本書でも中間報告としている。でも一番悪いのはソ連だよね。まさに「1984」の世界。☆☆☆☆。2015/05/09