内容説明
誕生から共産党創立、長征まで、成長と変化を丹念にたどり、思想の変遷、世界情勢の中にも位置づけて描く。新資料と綿密な取材を基に、偏見や扇情を排し、二十世紀の巨人の実像に迫る。
目次
第1章 儒教的な子供時代
第2章 革命
第3章 悪政の君主
第4章 「主義」の沸騰
第5章 コミンテルンの指揮
第6章 馬日事変に至る出来事とその血みどろの後日談
第7章 銃身から
第8章 富田―無垢の喪失
第9章 共和国主席
第10章 蒼竜を探して―長征
著者等紹介
ショート,フィリップ[ショート,フィリップ][Short,Philip]
BBCの海外特派員として40年間、ワシントン、モスクワ、パリ、東京、北京に駐在した。特に北京には1970年代と80年代に滞在して以来、定期的に訪問している。現在、南仏で暮らしている
山形浩生[ヤマガタヒロオ]
1964年生。東京大学工学系研究科都市工学科修士課程修了。マサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了
守岡桜[モリオカサクラ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Francis
10
中華人民共和国建国の父の評伝。毛沢東の評伝はユン・チアンの「マオ」を読んだことがあるけど、著者の思いが出過ぎていて、客観的でなかったのが残念。このショート氏による評伝はかなり客観的で安心して読めた。とはいうものの、瑞金時代の政敵の大量粛清は反吐が出そうなくらい酷い。確かにこの様な人物でなければ広大で腐敗しきった中国を再び独立させることは出来なかったかもしれないのだが、それにしても、と思う。2016/12/14
てれまこし
6
資本主義の中心ではなく辺境で起きた最大の革命が中国革命。都市労働者ではなく農民が革命主体となっている。やはり農村共同体とつながりのある匪賊(馬賊)が活躍しているが、毛の作りあげた紅軍自体が義賊的な倫理を採用している。権力による弾圧が農民を蜂起に走らせた点も千年王国運動に通ずる。土地の再分配という農民の願望を毛は鋭く読み取っており、この洞察が劣勢の紅軍をして、地主を支持層とする国民党軍を次第に圧倒していく要因となった。共産主義という世俗教義が受け入れられる素地として、やはり千年王国思想があったと思うが不明。2019/11/20
takao
2
ふむ2024/01/07
紙魚
2
近代中国の国家成立までの大雑把な流れを把握できていなのですぐに何時頃の話しをしているのかわからなくなって難儀した。若い頃は暴力革命を否定していたり、詩と古典文学を愛していたりと、武人より文民的な人物であったというのが意外だった。2020/04/03
西條風太郎
2
よく言われることだけど、毛沢東関連の本は冷静で中立的な本がほとんどない。この本は例外の一つで、彼の生い立ちから最期までを淡々と描き、普通の論評をしているというただそれだけでとても値打ちがある。あとは毛沢東の個人的魅力や、この時代の面白さが問題になるわけだが、建国の経緯だから時代は面白いとして、彼を好きになれる人間は少数派だろう。そもそも中国を知るための勉強のつもりで読んだ本なのだけど、その点では収穫が多かった。中国はこういう国であり、毛沢東はこういう男なのだろう。リアリティがあり合点は行く。2012/07/19