出版社内容情報
家族という大河の流れのなかで繰りひろげられる貴族の日常生活を、厖大な書簡を通して再構成し、イタリア統一の波乱の時代を生きた、文豪マンゾーニとその家族の生涯を描く。
内容説明
アレッサンドロ・マンゾーニは19世紀イタリアの国民的な詩人であり、作家である。本書は、家族という大河の流れのなかでくりひろげられる貴族の日常生活を、厖大な書簡を通して再構成し、イタリア統一の波乱の時代を生きた、文豪マンゾーニとその家族の生涯を描く。第2部(1836‐1907年)を収録。
著者等紹介
ギンズブルグ,ナタリア[ギンズブルグ,ナタリア][Ginzburg,Natalia]
1916年、パレルモ生まれのイタリア人作家。少女時代から文学を志す。1938年に反ファシスト運動のリーダー、レオーネ・ギンズブルグと結婚し、短編を発表するかたわら、プルーストの『失われた時を求めて』を訳して高く評価される。現代イタリアを代表する作家の一人。上院議員。1991年逝去
須賀敦子[スガアツコ]
1929年、兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。上智大学比較文化学部教授。1991年、『ミラノ霧の風景』で女流文学賞・講談社エッセイ賞を受賞。1998年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りつこ
20
そもそもマンゾーニを知らないし、手紙のやりとりのなかで語られるのは、誰かが病気になってお金の無心をして会いたがってでも会えなくて、結婚話が持ち上がって持参金でもめて…。これは最後まで読めるのだろうかと不安だったのだが、途中から彼らのことが他人とは思えなくなり、夢中になって読んだ。そして最後まで読んで泣いた。善悪では割りきれない人間の複雑さと人間関係を書簡から浮かび上がらせるこの技量。時代も価値観も違うのに彼らのことをとても身近に感じる。私たちは近頃何もかもを単純化しすぎている気がする。2014/07/08
rinakko
6
素晴らしい読み応え。…て言うか、今はもう、一族とどっぷりお付き合いさせていただいた気分。イタリアの統一運動を支えた国民的作家、アレッサンドロ・マンゾーニ。二人の妻、その子どもたち。マンゾーニが母親に勧められるがままに迎えた後添いは、可憐で心優しかった先妻とは真逆のタイプだった…。強烈に自己中な後妻テレーサの為に、平穏な一家は一転し、ほとんど離散してしまう。でもマンゾーニ自身は後妻のことが満更でもなく、欠点だらけの彼女を必要としていたのかしらん…なんてことも、様々な書簡から伝わってくる。そんなところも面白い2013/10/20
kanapi
1
全然知らない人物だったわけだけど、ずっと遠い場所の100年以上昔のことだったのだけど、彼らの家族の歴史がぐっと近くにあるような感じがした。手紙だからだろうか。人が覚えられなくて読みづらかったところもあった。最後は登場人物が全員なくなるところで終わるのだけど、終盤の筆者の語りらしきところというのか、総括っぽいところとか、しんみりした。2012/08/26
Masa
0
アレッサンドロ・マンゾーニとその家族の生活が手紙を通して等身大に描かれている。マンゾーニはイタリア統一運動の象徴的存在とされるが、家庭生活は母親との葛藤と和解、子供の誕生と死別、再婚、家族間の諍い、子供達の経済的破綻と決して幸福ではなかった。私はマンゾーニという人物もこの作品も全く知らなかったが、須賀敦子氏訳ということで、手に取り、そして作品にのめり込んだ。家族は家族みんなの幸せを願う、しかしそれぞれが幸せを掴むために、自立し、家族を不幸にして行く。2016/11/09
mojikatzchen
0
そもそも須賀敦子さんの文章の中に出てくるマンゾーニ…イタリアの国民的作家である彼の文学は読む機会がなく、先にマンゾーニ一族の歴史を読んだ。須賀さんが訳しているので興味を持って読んだ次第。家族や友人間の手紙を繋ぎ合せて構成されていたことが、それぞれの関係や状況をわかりやすくしてくれて、個々の存在感が素晴らしかった。名前が沢山出てきたのは覚えられなかったけれど(笑)。 並行してスイスが観光国になった歴史本も読んでいるので、登場人物がスイスで水治療していたなどの記述に歴史的背景が繋がっていて面白かった。2013/08/14