白水Uブックス<br> 黒い美術館―マンディアルグ短編集

白水Uブックス
黒い美術館―マンディアルグ短編集

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  • サイズ 新書判/ページ数 191p/高さ 18X12cm
  • 商品コード 9784560070833
  • NDC分類 953
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 マンディアルグの第1短篇集収録作品を中心に、他の諸集から折紙つきの名作2篇を集め、「マンディアルグ傑作集」とも名づくべき1冊である。文学通の読者に短篇の醍醐味を満喫していただく趣向で、「サビーヌ」「満潮」「仔羊の血」「ポムレー路地」「ビアズレーの墓」を収録する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

113
マンディアルグの傑作短編集。残酷でグロテスクで、エロチックな作品ばかり。文章はどこまでも端正で美しい。このギャップが面白かった。「仔牛の血」が一番の好み。両親の心無い行為によって主人公のマルスリーヌは辛い経験をする。これは彼女の大人になるための通過儀礼という気がした。熱に浮かされたような彼女の真夜中の行動は、血と動物の匂いに満たされて、最後は悲劇が起こってしまう。それでも散文的な日常は続いていく。結末に黒い笑いを感じた。2018/05/21

梟をめぐる読書

23
歳の近い兄従妹の間で行われる浜辺での密やかな性愛の儀式を潮の満ち引きに重ねて描く熱帯のポルノグラフィ「満潮」と、兎を溺愛する少女が体験した茫然自失の一夜を追う「仔羊の血」が好み。いずれ少女としての無垢な時代の終わりと、血と暴力の衝動への残酷な目覚めを扱っている。澁澤龍彦の初期小説におけるマンディアルグの影響は明らかで、とりわけ「犬狼都市」の食事シーンは「仔羊の血」のオマージュというか微笑ましいパクリである。日本のアングラ文芸にマンディアルグという「黒い太陽」が与えた影響力の全貌は、未だに計り知れない。2015/07/16

ふるい

10
"それは夜中に思い出して身震いするような話、毛皮と流血の物語だ。" 退廃した美とエロスの物語集。「仔羊の血」がやはり凄い。グランヴァカンスのスウシーの元ネタ。あとは「サビーヌ」が好き。時間が巻き戻って行くのが、何だかかっこいい。2017/09/13

愛玉子

9
幻想、退廃、妖艶、淫靡、暴力、そんな世界が煌びやかな色彩で描かれる。『仔羊の血』の無自覚な残酷さとその結末に圧倒され、妖しく華麗なダイアゴン横丁『ポムレー路地』の描写の美しさに幻惑された。まさに「黒い美術館」という題がしっくりくる。2010/01/12

N島

8
あるテレビ番組で久しぶりに『マンディアルグ』の名を耳にし、懐かしくなって手に取ってみました。 テレビで紹介されていた、パッサージュポムレーの描写を求めて読み解いてみたにですが、作品では映像で見た明るくお洒落なパッサージュとは真逆の、打ち捨てられた遺跡然とした姿が描かれており、マンディアルグの魅了されたパッサージュの姿は過去のものと改めて思い知った次第。番組でも取り上げられた『まるで海底二万海里の~』という比喩表現は、少なくとも今のパッサージュには相応しくないと思うのですが…。

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