出版社内容情報
音楽はひとつの芸術として独自の普遍性を有するとともに、それを創りだした歴史的環境によって濃くいろどられている。本書は、中世・ルネサンス期を経て近代ヨーロッパ音楽が形づくられる過程を、各時代の芸術・文学・宗教・政治・趣味などと関連づけながら論述する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かず
2
本書は、あたかも、音楽史の年表と世界史の年表を並べて見比べながら見ているかのように読むことが出来る、非常に優れた本だと思う。訳本の初本が1953年刊、2006年時点で32刷発行というロングセラーであり、人気なのも分かる。 自分が歴史好きの哲学・思想好き、そしてクラシック音楽好きなので、それぞれの知識を重ね合わせ、思い巡らすのが楽しかった。学校の授業ではバロック音楽からしか学習しないが、それ以前の音楽も手厚く触れており、充実の内容だ。個人的にはルネサンス音楽のポリフォニーからの変容が興味深かった。2014/08/22
ユーディット
1
著者は19世紀の生まれなので文体や研究の内容も今とは趣がずいぶん違うが改定されながら15版を重ねるのも頷ける。古代からストラヴィンスキーまでを一冊に収めている。18世紀のドイツから音楽が始まるような日本の音楽教育より一世紀も前からずっと進んでいたのを痛感する。祖国フランスへの思いが偏った傾向を生んでいないことも素晴らしい。続きはhttp://tutto-italia.seesaa.net/2014/01/12