出版社内容情報
ガスパール、バルタザール、メルキオール、そしてタオール……星に導かれてはるばる旅をした〈東方三博士〉には四人目がいた! 聖書と伝説から独自の神話を紡ぐ傑作バロック小説。
内容説明
星に導かれてはるばる旅をした“東方三博士”には、四人目がいた!聖書と伝説から独自の神話を織りなす、傑作バロック小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
149
トゥルニエは初読だが、先頃ノーベル文学賞を受賞したモディアノ等と同世代であるらしい。しかも、ともに「新寓話派」とされているようだ。もっとも、手法は随分違っていて、本書は新約聖書に材を得た、いわば歴史小説である。とは言っても、「マタイによる福音書」にのみ記述が見られる東方の三博士を拠り所に、自由に背景設定を施した物語であり、実質的な主人公は架空の、遅れて来た四番目の王、タオールである。ユダヤのヘロデ王のくだりなど、厳格に史実を踏まえることで、物語全体にリアリティを確保しつつ、悠久の物語に仕上げていった。2014/12/04
茎わかめろん
3
東方の3賢人の物語。後れてきた4人目の話。4人目の甘いもの大好きに王子にきゅん。イナゴの蜂蜜漬けを食して気付いた事、旅立ちにあたって重要なお菓子は王子セレクト。'夜のおやつの催し'心くすぐられっぱなし。だから尚その後が切ない。色々詰まってて気付かず見逃している事は多々あれどこの甘味王子にやられてしまいました。2012/10/26
nakmas
2
まずは装丁の美しさ。レンブラントの配置が絶妙。さすが白水社! 内容的には、聖書本文には一か所しか出てこない人たちや、個人的に好きだったのは牛や驢馬の視点から、想像を膨らませて昇華させて物語にしている。 聖書に書かれてあることも大切なのは当然ながら、その内容を基礎にして醸成されてきた西洋の文化と、時として伝説とも云える言い伝えのようなものが、実は本文を理解するのにとても役に立つし、題材として取り上げられる。例えば、ダン ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」とか。 2014/12/12