出版社内容情報
読者を小説世界に引きずりこむために作家は書き出しにどんな工夫を凝らしているか。サスペンスを持続させるにはいかなる妙技が必要か。登場人物の名前がもつ意味は。「エマ」「ユリシーズ」から「ライ麦畑」「日の名残り」まで、古今の名作を題材にその技法を解明し、小説味読の楽しみを倍加させる一書。
内容説明
小説愛好家・作家志望者必読!ジェイン・オースティンからポール・オースターまで、古今の傑作を素材に小説味読の50のポイントを鮮やかに解明する。英米文学科学生にとっても座右の書。
目次
書き出し―ジェイン・オースティン フォード・マドックス・フォード
作者の介入―ジョージ・エリオット E・M.フォースター
スサペンス―トマス・ハーディ
ティーンエイジ・スカース―J・D.サリンジャー
書簡体小説―マイケル・フレイン
視点―ヘンリー・ジェイムズ
ミステリー―ラドヤード・キプリング
名前―デイヴィッド・ロッジ ポール・オースター
意識の流れ―ヴァージニア・ウルフ
内的独白―ジェイムズ・ジョイス〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スミス市松
23
小説における数々の技術的知識を引用文を用いながら紹介していく。各引用に散りばめられた驚くべき技巧、文学理論をほとんど用いずわかりやすくウィットを含んで説明するロッジ、そしてそれを読んで「おお、おお」とうなずく読者という構図は、もはやそれ自体ある種の壮大なメタフィクション小説のようだ。小説の技巧とはまさしく「ゲシュタルト」的でそれ単独で語れるものではないが、それでもある程度の傾向を示すことはできる。新しい、信じられない発見がいくつもあったので、今後もたびたび読み返してなんとか「モノ」にしたいところである。2010/11/08
ヨクト
20
読み方が自由であるように、書き方も自由なのだろう。普く作家はそれぞれの発想、読者に読んでもらいたい一心でいろいろな技巧を試み、それは時に喜ばれ、時に批判されたのだろう。本書ではその数々の技巧を紹介。作家志望の方は読んだ方が良いかも知れないが、あくまで参考、沢山の本を読む方がベターだと思う。2015/05/07
乙郎さん
16
小説のシステムについて多様な例文をひきながら明確な説明を行っている。引用されている例文を読むときには、その引用箇所が1ページほどということもあってか心地好い緊張感をもって読むことができた。これから先、小説を読む上で新しい視点が持てそうだ。2009/08/09
三柴ゆよし
15
小説の読み方が変わるかもしれない本。熟読すれば、文芸批評の真似事くらいは出来るかもしれない本。小説作法のイロハが身につくかもしれない本。別にいいよ! という人にとっても、とりあえずの読み物として耐え得るかもしれない本。小説好き必読とまではいわなくとも、読めばなにかしらの発見はあるにちがいない。蓋し良書だが、実をいうと、引用テクストが真っ当な英米文学中心で、後半やや退屈だった。が、『トリストラム・シャンディ』は無性に読みたくなりました。2009/12/26
パラ野
14
何年積んでたのかわからない本w 英米文学を生理的に受け付けないって、よくわかったけど、小説の感想を書く時のガイドブックとして、何とか読了。いや、うん、英語の構文って単調でグラデーションがなくて、面白くない。小説の入り口としては、とてもわかりやすく紹介されているので、何か不安がかきたてられるけど、基礎体力作りにはいいんじゃないかなと思う。あと、辞書みたいな使い方。2014/08/10