新しいイギリスの小説<br> 敵あるいはフォー

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新しいイギリスの小説
敵あるいはフォー

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784560044711
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

 ロビンソン・クルーソーの島に一人の英国人女性が流れ着いた。島は、我々が漂流記で知っているような緑豊かな楽園ではなかった。不機嫌なクルーソーとなぜか舌を切られているフライデイ。救出された女性は自らの体験の物語化を作家フォーに頼むが。ブッカー賞作家が描く精緻にして大胆な寓話。

内容説明

ブッカー賞作家による『ロビンソン・クルーソー』の大胆な読み変え。クルーソーの島にひとりの女が流れついた。フライデイとともに帰国した彼女は、みずからの体験に言葉を与えてくれる作家を追い求める。作家の名はダニエル・フォー…。厳しく精緻な輝きに満ちた寓話。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さぼさん

5
ダニエル・デフォーの“ロクサーナ”と“ロビンソン・クルーソー”のリメイク.前半は単純な冒険ものだが,後半は結構深い.言葉を紡ぐことの大切さ,難しさをノーベル賞作家が小説の中で語ります.読むべし.2010/03/30

futomi

2
J.Mクッツェー著 本橋哲也訳 白水社 「敵あるいはフォー」 ブラジル、バイアから船に乗ったが、船員が反乱を起こし殺された船長と共に小舟に似せられ孤島近くで放たれる。着いた島には年老いたクルーソーと喋れないフライデーがいたのが第一部。二部は孤島での生活を本にしようとフォーという名の作家との手紙のやり取り。第三部はフォーをようやく探し当てるが、話はさらに入れ子のようになって。 言葉と物語と私は何者?みたいな物語…かな。 2011年からつけ始めた読書メータによると800冊目。🎉2024/03/27

tona

2
ロビンソン・クルーソーに日記を書かせずに、フライディの舌を切り、語れなくした上で、偶然島に流れついた女主人公に物語を語らせている。しかし、彼女自身、自分で自分について語り、self-portraitを描いているにも関わらず、自分の姿を鏡で見ることを拒否し、フォーという伝記作家に執筆を依頼する。Summertimeにおいても実践されたクッツェーの「自分で自分について語る」という問題意識が垣間見える作品。2013/08/14

あすな

2
何としても語ろうとするスーザンと語らないフライデー。物語を語るという行為の根底には暴力性が潜んでいるのか。ラストシーンは言葉の限界を示しているようにも思える。物語を語ることで語られる対象を支配してしまうのならば、それでも語ることをやめないクッツェー自身がFoe?2013/07/23

nbhd

2
良い、震えた。無人島譚のおもしろさから物語に引き込まれたが、そのうちに、どこまでが女漂流者の言葉で、どこまでが小説中の作家フォーに書かれた言葉なのか、ふわふわとわからなくなってきた。それが気持ちいい。なるほど、この小説のタイトルは「フォー」で、これは凡庸な無人島物語をイッパシの物語に仕立てあげる作家の話か。沈黙のフライデーを媒体に、このお話を書いたクッツェー恐るべし。 2013/03/25

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