ベケット戯曲全集〈2〉 (新装版)

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ベケット戯曲全集〈2〉 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 316p
  • 商品コード 9784560034798
  • NDC分類 952
  • Cコード C0374

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mingus

4
<芝居>今に始まった話ではないけれど、不可解な戯曲である。何故なら舞台に立つ役者たちは壺に入り、顔だけを覗かせている。壺に入った1人の男性と2人の女性、スポットライトの光は1人1人を忙しなく照らし、照らされた者は発言する。それぞれの証言から次第に浮かび上がる三角関係の事実。やがて読者が抱く違和感と、奇怪な舞台設定、そしてタイトルの"芝居"が意図するものを解説を通してようやく呑み込めたのだが…劇は尚更に不気味な味わいを帯びる。2023/04/11

Mingus

3
<ねえジョウ>テレビのために書いた戯曲。全集を通して強く感じたのは、ベケットはあらゆる媒体で自分の世界を構築することに旺盛だったこと。それでいて、ベケットの軸は巧みにも際立って演出されること。この演出力が突出してるからこそ、小説のフィールドでは味わえない独創性を生み出している。本作の登場人物は、ベケットでも十八番の人生の終末に佇む50代の男、ジョウ。映像はあくまで淡々とジョウを映し続ける。映像による劇的な展開はない。だが何度も、ねえジョウと呼びかける声によって内へ内へと我々は一つの過去へと誘われていく。2023/06/03

Mingus

3
<カスカンド>これもラジオの為に書かれた戯曲で、登場するのは"聞く人"と、声と音楽。聞く人が扉を開けると、音楽と声が流れ出す。声は今度こそこれが最後だと、何かを掴みかけるような、もしくは砂利の中で、海の中で立ちあがろうとする?抽象的で断片的な内容。聞く人と声と音楽が何を意図するのか。解釈は読者に委ねられる中、解説ではベケットが聞く人として、彼の創作構造を解く鍵になると指摘し、大いに納得がいった。同時にベケットの"自分の作品は結局音の問題でしかない"という発言を踏まえて彼がまさしく音と言葉の奔流から創造↓続2023/04/25

Mingus

3
<言葉と音楽>とりわけ難解な作品である。何遍も読んでなんとなく状況を掴めたか…登場人物は"言葉(ジョウ)"と"音楽(ボブ)"そして2人が仕える主人的な存在の"クロウク"。クロウクが"愛"や"老年"などお題の単語を出して、音楽と言葉がそれぞれ回答する。言葉は喋り続け、音楽は奏で続け、クロウクは棍棒を叩く。謎である笑 音楽と言葉は噛み合わず、それでもクロウクの指示で協力しなければならない。お題に対して音楽を伴奏に言葉を紡ごうとする。そしてクロウクがうめいたのは、リリーというお題?に対してなのか…??2023/04/05

Mingus

3
<言葉なき行為><言葉なき行為Ⅱ>ベケットの登場人物の多くは喋り続けざるを得ない呪いにかかっているが、本作に感しては、一切のセリフ、言葉がない。動作のみでの、パントマイムで戯曲は成り立っている。1は、砂漠に佇む男は見えない存在に翻弄され、目の前にぶら下がるものを得ることが出来ない。それが繰り返させれる。Ⅱはライン上で反復動作を行う2人の人間が刺激棒によって妨害?される。というシンプルなもの。二つのパントマイムに共通していること、人間の反復行為がどこか不毛で滑稽であること、そしてその行為は大いなる存在に?↓2023/03/10

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