出版社内容情報
「意味を取り易くするための連綿や、和歌の基本である五七五七七の区切りを、何故敢えて犠牲にした(無視した)かのように、《散らし書き》は書いてあるのか?」という疑問が出発点となった著者は、寸松庵紙・継色紙・升色紙などの古筆を取り上げて、「《散らし書き》の仮名の表現と和歌の解釈を関連させて統一的に説明」することを試みている。
また従来、誤記や脱字であるとみなされたり、現代人から見て単なる視覚的な効果を狙った表現としか解釈されてこなかった名品に、著者は新たな解釈が成り立つことを提示する。
さらに「活字で印刷しようが毛筆で書こうが、あるいは、整然と書こうが散らし書きにしようが、同じ和歌の解釈が変るはずがないというのが、これまでの確乎たる共通理解である。しかし、共通理解も先入観も、学校で習った知識も、すでに読んだ三種の注釈も、まして和歌にあてはまるはずのない古典文法も、すべて封印して虚心に読んでみよう。」といのが著者の考えから誕生した書籍である。
【著者紹介】
1929年、東京生まれ。現在、四国大学大学院文学研究科講師。筑波大学名誉教授。文学博士。『書の宇宙12 平安古筆』(二玄社刊)の「仮名の成立と和歌」を執筆(1998)。
内容説明
寸松庵色紙・継色紙・弁色紙の「散らし書き」に秘められた和歌の心を読み解く。
目次
寸松庵色紙1 としふれば
寸松庵色紙2 こづたへば
寸松庵色紙3 んめのかを
寸松庵色紙4 秋の夜は
寸松庵色紙5 おくやまに
寸松庵色紙6 さきそめし
継色紙1 はなのいろは
継色紙2 めづらしき
継色紙3 あまつかぜ
継色紙4 きみをおきて〔ほか〕
著者等紹介
小松英雄[コマツヒデオ]
1929年生まれ。筑波大学名誉教授、四国大学大学院講師。文献学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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