内容説明
地域とは何か、コミュニティ、共同体とは何か、これからの社会のかたちをどこに求めるべきなのか、そしてその背景にはどんな哲学、思想をつくりだす必要があるのか。それは震災後の復興を考えていく作業でもあり、同時に、いきづまった現代社会をいかに変えていったらよいのかについての考察でもあった(「はしがき」より)。
目次
第1講 コミュニティをどうとらえるか
第2講 日本と欧米の社会観を比べてみると
第3講 日本人にとって個とは何か
第4講 共同体は単一ではなく多層的なものである
第5講 日本の近代化は共同体をいかにしてこわしてきたか
第6講 国民国家・市民社会・市場経済への反撃がはじまった
第7講 風土論でローカルな世界をとらえる
第8講 人間にとって主体とは何か
第9講 「個としての主体」という牢獄
第10講 復興のグランドデザインと価値の共有―3・11後の社会をデザインする
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読書ノオト
2
約10か月をかけて読了。今日を生きるに重要な共同体論を学ぶことができる。東日本大震災の年の講義録であることもあり、復興論における風土論や主体論の合流には、内山氏の生きた統合知を感じる。風土論における和辻哲郎と三澤勝衛の比較は興味深く、特に三澤の風土論には、ミクロとマクロの往復が感じられ、さらに深めたく思った。内山氏自身が風土をどのような範囲で認識しているのか、主体論のみならず「日本論」の文脈から問いたい。日本とは何か。三澤の風土論から考えるなら、それは内山氏の言説以上に脆く解体せざるをえないものなのでは。2023/10/12
hamama
1
自然(じねん)の考え方、社会と世間の違いなど、改めて考えるきっかけがたくさん詰まった本。2015/07/12
mustache
1
個人を軸とした国民国家、市民社会、資本主義などのシステムが無力化し、「個としての主体」という牢獄に人々が捉えられている今こそ、ローカルな共同体のつながりの中に人間存在の原点を見出す内山節の思想と行動指針を、分かりやすく解説している。2014/10/07
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
0
【ココロの琴線に触れたコトバ】つまり人間の本質とか実態というものは固有のものとしてつくられているのではなく、関係の総和としてつくられているということなのです。私は人間の本質を関係としてとらえています。そしてそうだとするなら、関係を作り、コミュニティを生み出しながら自分たちの存在の場所を形成していくことは、たんなる手段ではなく、人間の本質に属することのはずなのです。2015/07/22
KOKKO
0
個人を基盤とした社会の限界2012/12/01