内容説明
永源寺診療所は琵琶湖の東側に広がる、滋賀県東近江市(旧永源寺町)にあります。永源寺地域のとくに東の方は、おじいちゃん、おばあちゃんがおおぜい住んでいるところ。永源寺診療所の花戸貴司医師は、看護師さんやヘルパーさん、くすり屋さん、いろんな人たちと輪になって、毎日のように訪問診療、訪問ケアをしています。がんなどの病気にかかった患者さん、難病を抱える少女、老衰で死を迎えている人…。人びとが少しでも安心して、自分らしく、住みなれた場所で生活を続けられるよう支えてきました。「ぼくの専門は、内科医でも小児科医でもなく永源寺」花戸医師のこの口ぐせは、どういう意味でしょうか。
著者等紹介
國森康弘[クニモリヤスヒロ]
写真家、ジャーナリスト。1974年生まれ。京都大学経済学研究科修士課程修了、神戸新聞社記者を経てイラク戦争を機に独立。イラク、ソマリア、スーダン、ウガンダ、ブルキナファソ、カンボジアなどの紛争地や経済貧困地域を回り、国内では、戦争体験者や野宿労働者、東日本大震災被災者の取材を重ねてきた。「あたたかで幸せな生死を伝えたい」と、近年では看取り、在宅医療、地域包括ケアの撮影に力を入れ、滋賀・永源寺地域の花戸貴司医師らに同行取材している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinupon
16
シリーズ3冊目。人の尊厳とは何か。いろいろな人に支えられて、人は生きていることを痛感します。2014/03/31
pocco@灯れ松明の火
13
最期を共に>大学病院の先生は、病名不明の父の最期の最期まで一緒にいてくれた。自分の担当の時間を超え、ずっと病院に居てくれた。看取るって、手放すってことでなく、(寄り添う)なんですね。先生にとても感謝して病院を出たのを思い出す。2014/06/28
(can´﹀`*)/
12
みとりびとシリーズ三弾*花戸先生は内科医でも小児科医でもなく『永源寺』が専門というお医者さん。花戸先生の仕事は「旅立ち」に向けて、自分らしく心おだやかに過ごしてもらうことだと言う。怪我や病気を治したりすることは出来ないけど、心穏やかに過ごせる時間を作ることなら私にもできるかも(´・ω・)まずは一緒に住む大切なおばぁを思いやっていこう*みとりびとシリーズはどれも写真が素敵!!2014/04/30
遠い日
10
「いのちつぐ「みとりびと」」シリーズ3。滋賀県東近江市の永源寺診療所のドクター花戸。病は体だけの問題でなく、暮らしぶりや環境にも関わることと考える花戸医師。だから、訪問診療、訪問ケアを実践する。患者さんの人間関係まで把握して、みんなで支えることを可能にする。高齢化の集落で、看取りは医療行為のみならず、ここで生きてきたという満足感を持ちことができるようにすることも含まれる。人の死というものは、生きてこそのもの。背一杯生きなくてはと背中を押されました。2021/03/10
ヒラP@ehon.gohon
10
この本に出てくる花戸さんのような人を身近に知りません。 それは便利の良いところに住んでいるからでしょうか。 でも、家庭や家族の方が病院よりも患者を回復させる力があるという考え方は、心に刺さりました。 本当に医療を考えたら、医師の都合優先の社会には問題があるような気がします。 人ともに生き、人から力をもらっているという花戸医師は輝いて見えました。2017/09/20