わたしもじだいのいちぶです―川崎桜本・ハルモニたちがつづった生活史

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  • サイズ A5判/ページ数 207p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784535587281
  • NDC分類 334.41
  • Cコード C0095

出版社内容情報

一字一字が、知られざる人生を語り出す――在日コリアンの識字学級でつづられた、女性たちの彩りあふれる生の記録。磯部涼氏(ライター/『ルポ 川崎』著者)、温又柔氏(小説家)推薦!

ふるえる手でつづった一字一字が、過去・現在・未来を語り出す――
学ぶことをあきらめなかったハルモニ(おばあさん)たちの、鮮やかな生の記録。

川崎臨海部の工業地帯に位置する小さな町・桜本。
戦前から今に至るまで、様々なルーツを持つ人々を受け入れてきたこの町に、字の読み書きが困難な在日コリアンや日系移民の女性たちの集う識字学級がある。
差別や戦争が原因で、高齢になるまで学習の機会を奪われてきた彼女たちは、この教室で文字を手にし、自らの人生について書きつづるなかで、心の奥にしまわれていた記憶や思いをひとつひとつ言葉にしてきた。
本書に収められた作文は、故郷を離れてたどりついた町の片隅で、汗を流して働き、家族を支えながら生きてきた女性たちの確かな経験を伝えてくれる。
それらは同時に、この社会の現在と未来をも照らし出す。
いま聞き届けるべき声がここにある。

はじめに 三浦知人
この本に登場するハルモニたち
プロローグ??識字学級という空間 鈴木宏子

第一部 記憶
朝鮮に生まれて
いくども海を渡る

第2部 どう生きてきたか
働きづめの日々
くらしの色彩
家族へ
解説

第3部 いま思うこと
老いと向き合う
はじめて声をあげた日
解説

第4部 教室の外へ
「おもい」を開く
ひびきあう道のり

特別寄稿 ハルモニたちの言葉と向き合う 石橋学

全体解説 途方もない〈余白〉をみつめて 康潤伊
おわりに 鈴木宏子

執筆者プロフィール

康 潤伊[カン ユニ]
著・文・その他/編集

鈴木宏子[スズキ ヒロコ]
著・文・その他/編集

丹野清人[タンノ キヨト]
著・文・その他/編集

目次

プロローグ 識字学級という空間
第1部 記憶(朝鮮に生まれて;いくども海を渡る)
第2部 どう生きてきたか(働きづめの日々;くらしの色彩 ほか)
第3部 いま思うこと(老いと向き合う;はじめて声をあげた日)
第4部 教室の外へ(「おもい」を開く;ひびきあう道のり ほか)

著者等紹介

康潤伊[カンユニ]
早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程。早稲田大学教育学部国語国文学科助手。専門は在日朝鮮人文学、日本近現代文学

鈴木宏子[スズキヒロコ]
ふれあい館高齢者識字学級の共同学習者

丹野清人[タンノキヨト]
首都大学東京人文社会学部教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kri

10
クラウドファンディングに参加して刊行一番に読むことができた。皆さん、是非とも読んでください。価値ある一冊!1930年頃生まれた在日コリアン一世・二世の女性たちの生活の歴史。苦労続きで学習の機会がなかったハルモニたち。読み書きのできない老女たちが念願の学習の場に通い、人生の過酷な経験や輝いていた子供時代や老いの不安などを懸命に作文に書いた。第二次大戦、朝鮮戦争を潜り抜け、時代の悪しき流れに翻弄され、どの国の支援も受けられずに差別の中でも必死に家族を養ってきた彼女達が書き記すことはどんなことか?知ってほしい2019/01/29

紫苑

3
出版のためのクラウドファンディングに参加したので、リターンで送っていただいて読んだ。たどたどしい文章の中にハルモニたちの苦労がにじむ。比較的短文なのは、文章力の問題もあろうが、筆舌に尽くしがたいということも理由の一つだろう。識字学級や夜間学校がハルモニやオモニに勉強の場を提供した時期があったそうだが、今は外国人労働者やその家族、実習生らが、日本語について同様の問題に直面している。政府の施策の遅れを痛感せずにはいられない。→2019/01/26

クロニコ

2
ハルモニたちの歩んだ人生、苦労に触れ、深く考えさせられる内容だった。改めて過去の歴史の真実、他国との関係、自分の目で頭で真実を知り考えたいと思った。また、当たり前のように、字を書き読み、表現することを義務教育で学んだがそれがいかに人生において大事なことなのか、強く感じさせられた。作文や小論文など決して楽しい授業ではなかったが表現することで、自らの考えや思いを整理し冷静に振り返ることができる。そのことが自分を支えるもとになるのだ。 2019/06/06

Miki Shimizu

2
おばあちゃんたちの作文。やっぱり、文字の力ってすごい。自分の考えたこと、体験したこと、遠くの人にも伝わる。場所も、時間も。信頼できる仲間がいて、なにをしゃべっても受け入れてもらえるって思える場所があって、いいなー。ホントは学校がそんな場所になれたらいいのになー。2019/01/27

禿頭王

1
文字の読み書きができるという当たり前から取り残された女性達。彼女たちが紡いだ作文に、彼女たちが歩んできた人生や苦労を思い、目頭が熱くなりました。一方で、解説の康潤伊さんの「ハルモニたちを癒やしの存在として搾取することに強く抗したい」という言葉にハッとさせられました。貧困家庭からニューカマーまで、今も当たり前から取り残された人たちがいる現実を、「この本の人たちみたいに頑張りなさい」の一言で片付けてはいけないのだと強く思いました。2020/03/15

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