思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 220p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784535562103
  • NDC分類 146.8
  • Cコード C3011

内容説明

フィクションとノンフィクションの交錯する点を掘り下げ、心の深層の知恵を示しつつ、村上春樹作品と心理療法の本質に迫る名著である。

目次

第1章 物語の力(物語の呪縛;新たな物語のプロローグ)
第2章 思春期という異界(異界の視点;思春期同窓会)
第3章 思春期体験と死(死のイメージ体験;生の中にある死)
第4章 現実の多層性(「見える身体」と「見えない身体」;羊男の世界;「入り口の石」;イメージの力;「向こう側」から来る性と暴力)
第5章 本当の物語を生きる(物語の共有;全体性を取り戻す―物語と猫;物語の行方)

著者等紹介

岩宮恵子[イワミヤケイコ]
聖心女子大学文学部卒業。臨床心理士。鳥取大学医学部精神科での臨床を経て、臨床心理相談室を個人開業。2001年より島根大学教育学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aloha0307

21
冒頭の春樹さん談”小説を書くというのは、多くの部分で自己治療的な行為です。何かのメッセージがあって小説を書くのではなく、むしろどのようなメッセージがあるのかを探し出すため…(改・略)” ここに、村上作品が万国共通の所以がある気がする。読み進むごとに、そこに己を見出すのだ。本書は心理療法事例を通じて、村上作品を解読する。深い、深い自らの意識の底へ降りてゆく...ちょうど、”ねじまき鳥クロニクル”で、主人公が古井戸の底に降りて沈思するが如く。そこには何があるのか、そこに陽が挿した瞬間は...怖くて震えてしまう2017/04/01

羊男

6
★★★★☆2023/10/14

嘉月堂

3
村上春樹さんの作品を心理療法との関連で読み解く本です。(というか、だと思います。)「現実の多層性」、「あちら側の世界」と「こちら側の世界」をキーワードとして解説されており、村上作品を読むうえで、良い参考になると思います。あとがきに書かれた「・・・村上春樹の作品を通過すると、何かが自分の中ではっきりとしてくる感じがあったのである。しかしこの「何か」の「感じ」はあくまでも主観的な「感じ」であって、それを人に説明することなどとてもできないと思っていた。」という部分は、強く共感いたしました。2013/06/22

ぶるり

2
良書!!村上春樹作品が大好きな私はめろっめろです。これは楽しい!村上作品を心理療法的に読み解いていく過程がとっても面白い、気持ちがいい! 「物語」に癒しの力がある、ということを再認識できました。まるで自分の読書履歴がこの一冊に収束していくような、ピンと張ってる緊張感がスリリング。勿論、細かいところでは「えー?」ってなるところもないではないのですが、それを含めて楽しめます。批判的な目も忘れずにいられる、そんな緊張感も味わい深い一冊。これはぜひ、いろんな人と語りたい!2016/05/19

akubineko

1
村上春樹をからめてということで、昔日のハルキファンとして読んだ。お恥ずかしいことに「ノルウェイ」以外の作品を、まるで覚えていないことが、分かった(笑)そのかわり(?)今試験勉強をしている放送大学の科目とリンクする話が多く、「あ~、そうだ、そうだ。そういうことだ!」と、腑に落ちる思いだった。それでも、ひつじ男は好きだったなぁ。ひつじの着ぐるみ着て、ポシェットさげて、タバコくゆらす日々があこがれだったよ。 2014/07/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/578425
  • ご注意事項