内容説明
誰も知らない自閉症の世界。
目次
序章 千数百枚の連続画
第1章 自閉症の精神病理(タイムスリップ;自閉症の体験世界)
第2章 自閉症と仕事
第3章 アスペの会―高機能広汎性発達障害の諸問題
第4章 さまざまな発達障害の臨床(ダウン症の青年期退行;多動児あれこれ;二人のトゥーレット症候群;ある非行少年の記録)
第5章 発達障害児の療育(乳幼児健診と早期療育;発達障害療育における臨床医の役割)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミナコ@灯れ松明の火
8
発達障害の子どもたちのせんせいとして、とても興味深かったし、子どもたちへの愛が感じとれてとても安心感を持って読めた。2010/05/13
きーしゃん
4
発達障害を学ぶならば、今までの流れの中で、対象と真摯に純粋に向き合ってきた著者が書いた「発達障害の豊かな世界」杉山登志郎 著が、自分の中では一番だ。発展途上な上に、これだけトレンドになると古くさいと感じるかもしれないが、むしろ、この本に書かれていることを知らずして、根底からの理解は得られないのではなかろうかと思う。つまり、この本に書かれていることを理解していないということは、移り変わる最先端のファッションを追うだけのように思えてならない。導かれるように奇跡的に、この本に出会えてよかったと思っている。2019/02/03
asajee
4
読了まで時間がかかった。けど、中身の濃い本。発達障害の子どもに対して、世間も、ぼくも、なんと一元的な見方をしていたのだろうと、反省しながら読んだ。乳幼児の健診と、正しい見立てによる早期からの適切な療育の必要性を、痛いほど良く分かったつもり。とっても勉強になった。同時に、他の学者があまりやりたがらない分野の研究を、子ども一人一人への深い愛情を元に継続している作者に敬服。2011/05/09
はりねずみ
4
再読 初めてこの書籍に出会ったのは、娘が三歳ごろだったろうか。その娘ももうすぐ9歳になろうとしている。今読み返しても、驚きや感動を感じるのはどうしてなんだろう。いまだに娘を理解できていないからなんだろうか。2010/04/23
ぼっせぃー
3
著者の発達障害に関する一般書の中で、臨床例の掘り下げが1番深い本ではないだろうか。1100枚の連続画からタイムスリップ現象へと考察を深めていくとき、自閉症時の就労現場の実態について驚くとき、XYY症候群の誤診について省みるとき、そこに生々しい臨床家の姿を見るとともに、あるべき真摯な臨床家の姿を見ることになる。同じ医療の現場で、ルーチンに溺れることなく主体的に働くことは難しいと感じる日々で、学びながら人に働きかけシステムの構築まで行う著者の背中があまりに大きく見える。2020/08/14