日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす

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  • サイズ B6判/ページ数 278p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784532314354
  • NDC分類 366.021
  • Cコード C0034

出版社内容情報

会社が大好きで、働き過ぎ……。これらの現象は、日本の強みと言われてきたが実はまったくの誤解。労働経済学の最高峰が、内外の研究成果に基づいて産業社会の「神話」のベールをはぎ、日本経済の真実に迫る意欲作!
★第10回読売・吉野作造賞受賞。

内容説明

「日本は集団主義の国」「日本人は会社人間」「長時間労働が競争力を強化」「成長は政府のお陰」―。日本を惑わす迷信を、労働経済学の第一人者が一刀両断。

目次

第1章 激しい個人間競争
第2章 日本の働く人は会社が好きか―意識調査の国際比較
第3章 「年功賃金」は日本の社会文化の産物か―戦前日本の軍のサラリー
第4章 日本は長く働くことで競争力を保ってきたか
第5章 日本は企業別組合か
第6章 政府のお陰か―綿紡績業の展開
終章 己を知る難しさ―「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」

著者等紹介

小池和男[コイケカズオ]
法政大学名誉教授。1932年生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士課程修了、東京大学助手、法政大学助教授、名古屋大学教授、京都大学経済研究所所長、法政大学教授、東海学園大学教授、法政大学大学院教授などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

63
「出来高給(職務給)では品質が持たない」。ほんまかいなと思わず突っ込んでしまった。高度経済成長の時代を支えた20世紀の重厚長大産業ならともかく、21世紀の第三次産業でしかもWeb業界にいる者としては、属人的に決まる職能給はかえって良い人材を引き付けられなくなってしまうと思う。高度IT産業は良い製造業の存在なくては、生き残れないので、著者の言い分は分からなくもないが、やや時代錯誤感を感じてしまうのは否めない。2017/02/11

やまやま

19
日本人の職業観は個人主義的とも考えられ、むしろ組織原理から醒めているという指摘は、たぶん過去の集団主義とする考え方が国際比較上の手法を欠いていたためにおこった幻想と推理すると一応の納得を得る。他にも年功賃金や長時間労働、企業別組合や政府主導によるテイクオフなど、少し前の日本産業社会発達史における先入観を否定する意義は高かったのだと思う。特に、日本経済が不調となった20世紀末からの事情を、自らの不備とする説明に不満が強かったのであろう。いまこそ国際比較に良識の重要性を説く意義は強くあると感じた。2021/12/08

mittsko

7
目からうろこの快感、そして元気が出る…!(。・ω・。) ※ 恥ずかしながら、小池先生(故人)の著書を初読み。数ある名著のなかから本書を選んだのは、主題にある「神話」という言葉と、副題「経済自虐史観をただす」に惹かれて。ジャケ買いですね…(=゚ω゚)ノ 集団主義、政府主導、会社愛、年功賃金、長時間労働、企業別組合といった、日本の産業社会についての偏見・思い込み(「神話」)を、冷静かつ良識的な他国間比較により、丁寧にくつがえしていく。この作業が必要なのは、「神話による損失」があまりに大きいからだ、と切に訴える2021/04/04

渓流

5
信頼できる資料を深く吟味し、それを論拠に、今まで巣食っていた日本産業社会の諸々の「神話」を覆して見せる。そして、その論述の姿勢も謙虚で好ましい。曰く、この本はしばしば不十分な資料に基づくささやかな比較に過ぎない。・・・その質を認識し、限度を心得て書いたつもりである。一つのささやかな参考例となれば幸いである、と。伝聞一瞥の事例だけを頼りに、観念論の大風呂敷を広げる書の多い中、異彩を放つ。そう言えば「戦前の少年犯罪」の著者の姿もこうであった。2010/01/12

橘 劫

3
またもや駆け足に読んでしまう。でも日本の神話となっている労働イメージを数値で裏打ちした内容でとても読みやすかった2014/06/23

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