内容説明
現場に精通した「もの造りの哲人」が示す、日本企業の生きる道。
目次
第1章 迷走した日本のもの造り論
第2章 「強い工場・強い本社」への道
第3章 もの造りの組織能力―トヨタを例として
第4章 相性のよいアーキテクチャで勝負せよ
第5章 アーキテクチャの産業地政学
第6章 中国との戦略的つきあい方
第7章 もの造りの力を利益に結びつけよ
第8章 もの造り日本の進路
著者等紹介
藤本隆宏[フジモトタカヒロ]
1955年(昭和30年)、東京都に生まれる。東京大学経済学部卒業。三菱総合研究所を経て、ハーバード大学ビジネススクール博士課程修了(D.B.A)。現在、東京大学大学院経済学研究科教授兼ものづくり経営研究センター長、ハーバード大学ビジネススクール上級研究員。専攻、技術管理論・生産管理論・経営管理論
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペールエール
5
よくある「経営本」とは一線を画した本。ものつくり≒現場の力に着目している。 本の内容にもあったが、日本は総じて現場が強く本社が弱い。対して欧米は逆で、本社のマーケティング・ブランディングによって付加価値をつけるのが上手い。 日本もその視点を踏まえた上で経営戦略を練るべきである。 ただやみくもに利益を求めるのではなく、中長期的なスパンで、日本独自の秘術を活かしていこうって本。 ものつくり自体に新しい印象を与えてくれる良い本です。2013/07/18
rebanira_itame_man
5
2004年の本ですが、まだまだ学ぶべきところの多い本。ものづくりをアーキテクチャー視点から分析し、経営分析を展開している。近年、「モジュール」産業が全盛になり、「摺り合わせ」が得意な日本の製造業はもう立ち直れない、という一元的な論調が勢いづいてきている。しかし、この本を読めば、本当に日本の製造業の強い部分は何か、そして、それを生かして元気を取り戻すヒントが得られる。日本製造業絶望論より、本質を捉えた冷静な視点が得られる。2012/01/03
Keisuke Hosoi
4
製造業企業の経営戦略を、インテグラル的産業(部品と部品同士の組ませ方が複雑で、製品ごとに微妙な調整が要る)とモジュラー的産業(部品と部品は容易にとっかえひっかえ組み合わせられる)という軸で切り分けることを主張。その適否は僕のような素人には分からないし、この本にも玄人向けの実証データも(著者も語るように)ない。「印象論」の本。ただ、実社会では仮説はPDSCサイクルを回して実際に近似させていくことで足りるわけで、こういう姿勢で第一級の学者の方が仮説を提示していく姿勢は日本にとって有益だと思う。2012/05/12
メガネ
3
企業の戦略論について著された一冊ですが、従来の、というかいわゆる一般的な「本社視点」の戦略論ではなく「現場視点」の戦略論が描かれたいます。日本企業は欧米と比較して「強い工場、弱い本社」といわれますが、今後日本企業の本社が高い競争力と収益力を得られる戦略を取るためにはどのような視点が必要なのか。著者はこの本の中で日本企業の強みである現場をベースにし、アーキテクチャ(=設計思想)の考え方を持って戦略を練るべきだと著しています。今まで読んだ経営戦略論とは一味違い、最後まで興味を持って読むことができました。2014/10/07
おもしろきこともなき世に
3
10年前に買い求めた本、思い出して再読。「現場発の戦略論」という発想には、今も共感するところ大。資本集約的なモジュラー製品にに強みのある韓国、アーキテクチャの換骨奪胎で自らの強みを発揮する中国などの動向は、この本の予言(?)どおり。Dysonの掃除機、Philipsのヌードルメーカーやノンフライヤーなどもあるし、どうする日本のものづくり。2014/07/04