現代免疫物語―花粉症や移植が教える生命の不思議

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  • サイズ B6判/ページ数 333p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784532163464
  • NDC分類 491.8
  • Cコード C0047

出版社内容情報

花粉症、アトピー、自己免疫病、臓器移植の拒否反応は、なぜどんな仕組みで起こるのか。ノーベル賞の呼び声が高い岸本忠三・大阪大学総長が、身近な病気を通して、現代免疫学の神髄をリアルに平易に語り明かす。


目 次

 プロローグ

第 1章 石坂物語

ボルチモアの大雪/第五の抗体発見競争/背中を使って/ライバルの出現/日本の研究者の輪/北里物語

第 2章 花粉症物語

日光杉並木の怪/斎藤医師、日光着任/杉花粉症、日本に初登場/花粉症はどうして起きる/免疫の使徒たち/アレルギー治療に展望/アトピー、ぜんそくにはステロイドが有効/なぜ増えた花粉症?/感染症の減少が主因?/アレルギーは警報/アナフィラキシー・ショック --- 諸刃の剣/アレルギーは移る --- PK反応の発見

第 3章 結核物語

結核復活/結核もアレルギー/死んだ菌でも空洞が/腸チフスや肝炎にも免疫の影/ツベルクリンもアレルギー/アレルギーからわかったもう一つの免疫システム/コッホ余話/DNAワクチンへの期待

第 4章 T細胞物語

免疫の司令塔、T細胞の働き明らかに/抗体誕生のメカニズム/抗体の影に情報伝達分子/ホルモンもサイトカイン?/花粉症の元凶はヘルパー2T細胞/マクロファージが握る花粉症の秘密/DNAワクチンの意外な効果/花粉症の抑制にも期待

第 5章 移植物語

阪大で心臓移植/拒絶反応と感染症防止の綱渡り/「他」を拒む免疫/六〇年代の挑戦と失敗/シクロスポリンが閉塞状況打開/患者回復、緊張の局面も/免疫は移植を想定していない/組織適合抗原の秘密/日本生まれの免疫抑制剤「FK506」

第 6章 骨髄移植物語

骨は人を支えるだけにあらず/世界初の骨髄移植/バブル・ボーイ/男の子に多い免疫不全症/遺伝子治療に救い/研究者悩ませた免疫不全症/一世を風靡したロバート・グッド/ペインテッド・マウス/白血病にも骨髄移植/臍帯血移植と末梢血幹細胞移植/東海村の被ばく事故/放射線は免疫の天敵

第 7章 胸腺物語

グリックの失敗/胸腺の謎解いたミラー/ヌード・マウス/無駄こそ安全弁/自殺するT細胞/T細胞の異物探知センサー「T細胞受容体」/自分と外敵を同時に見る/二種類のMHC分子 --- 「クラスI」と「クラスII」/二十年後のノーベル賞/MHC分子の発見/ワイズマン研究所のウサギ/外敵を受け入れる免疫寛容の謎/免疫寛容を人の手で

第8章 次世代移植物語

脳死移植に限界/異種移植への期待と壁/補体鈍らせ超急性拒絶反応を抑制/課題も山積、異種移植/マラリア対策に手がかり/ドリーが描いたクローン臓器の夢/クローン人間は禁止/もう一つの夢、万能細胞/カエルでは臓器の分化に成功/開発難しい人工心臓/人工補助心臓は実用段階/「パンドラの箱」への恐れ

第 9章 抗体の不思議物語

歴史を刻んだモノクローナル抗体/日本生まれの細胞融合/細胞融合が作り出した「ポマト」/ミルシュタイン、モノクローナル抗体の生産に成功/抗体の混合物はいらない/細胞表面分子「CD」の発見に貢献/どこまで増える表面分子/診断薬や治療薬にも利用/抗体は五種類ではない?/利根川の驚異の発見、遺伝子の再編成/生命観にも重大な変更/B細胞とT細胞の不思議な接触

第10章 サイトカイン物語

長野泰一の「ウイルス抑制因子」の発見/インターフェロンの登場/谷口、βインターフェロン遺伝子発見/間髪入れず長田がαインターフェロン/師弟三人で共同論文/自殺スイッチFasの秘密/免疫からのアプローチ/胸腺細胞を分裂・増殖させる分子も/B細胞とT細胞にもメス/評価されなかった情報分子/襲う相手は一つ/「特異性」の呪縛/血液学でも情報分子/メトカーフ、CSFを発見/赤血球増多因子を補捉/米アムジェンの成功/赤血球増やして好記録/G-CSFの発見/副作用なく医薬に

第11章 インターロイキン物語

高月清が成人T白血病を発見/ギャロ「TCGF」を発見/名称統一へ国際会議/ギャロとメトカーフの不運/IL2遺伝子の解明/新情報分子相次ぎ発見/情報分子は出世魚?/驚きのインターロイキン6登場/紙一重の一番乗り/病気は血のにごりから/ニューヨークの会議で「IL6」誕生/血小板増多因子の探索へ/初期はインターロイキン6が有力に/リウマチ診断に根拠与えたIL6/カポジ肉腫にもIL6の影/IL6はキャッスルマン病でも暗躍/ミエローマを作る夢のネズミ

第12章 TNF物語

もう一つのあいまい分子、TNF/姿見せぬ日本の企業研究者/悪液質の犯人だったTNF/発想転換、動き封じて医薬に/あいまい情報分子に危険はないか/安全ネットも巧妙に準備

第13章 受容体物語

受容体のハンティングへ/内山卓がIL2「受容体」を発見/次はβ鎖の遺伝子/γ鎖遺伝子、日米で同時発見/免疫不全症の遺伝子治療にも貢献/受容体ファミリーの登場/新たな驚きgp130/gp130と心臓/TNFの受容体はFasだった/遺伝子の配列ミスが招く免疫不全症/謎が解けた重症複合型免疫不全症/ブルトン型無ガンマグロブリン血症も解明/高IgM免疫不全症にもメス/細胞内情報伝達の主役、STAT/アレルギー解消に道?

第14章 エイズ物語

エイズ襲来/成人T細胞白血病(ATL)ウイルス発見/「不変の真理」の崩壊/ATLVはレトロ・ウイルス/重要容疑者はIL2/ATLVの遺伝子でリウマチに/日本人の起源とATLV/ギャロのHTLV発見/比叡山の国際会議/ATLVとHTLVの対決に決着/迷走する謎解き/ウイルス説に勢い/モンタニエ、LAV発見/スキャンダル発生/こじれた背景に巨大市場/世界で起きた悲劇/玉虫色の決着

第15章 エイズ克服物語

人類絶滅の危険も/やっかいな変身/HIVの起源はアフリカ --- 本当は人間が悪い?/HIVの tat遺伝子の謎/HIVは脳も侵す/エイズ死者減らしたカクテル療法/免疫細胞を乗っ取るHIV/HIVの増殖プロセスを断ち切れ/第三世代の治療薬開発に光/ギャロの先駆的な実験/情報分子の異端児、ケモカイン/ケモカインは二つに大別/PBSFかSDFか、阪大対京大/「第二の足場」分子の正体は?/HIVは最初にマクロファージに感染/本命はCCR5のブロッカー/日本の武田がブロッカー発見

第16章 自己免疫疾患物語

原因不明の全身性エリテマトーデス/自己免疫疾患の引き金は?/胸腺の排除ミスも自己免疫疾患の原因?/免疫のルールを守らぬ巨悪「スーパー抗原」/体内の「外なるもの」眼球の不思議/ウイルスは外からやってきた「自分」

 エピローグ



内容説明

さまざまな病原体から身体を守ってくれるシステムが、なぜ自分を攻撃しはじめるのか。

目次

石坂物語
花粉症物語
結核物語
T細胞物語
移植物語
骨髄移植物語
胸腺物語
次世代移植物語
抗体の不思議物語
サイトカイン物語
インターロイキン物語
TNF物語
受容体物語
エイズ物語
エイズ克服物語
自己免疫疾患物語

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mr.deep

1
本庶祐教授が色んなとこでポコポコ出てて、改めてすごい人だったんだなあと2019/03/03

ゆうき

0
こんなに面白く読める科学エッセイははじめて。免疫学について全く知らなくても本の内容が頭に入ってきて読むのが止まらない

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