内容説明
神の愛と人間の尊厳を問いつづけた放浪の詩人、劇作家テネシー・ウィリアムズの七つの作品を詳細に読み解き、作家の全貌を浮き彫りにする!自由と愛のはざまに引き裂かれたウィリアムズへの鎮魂の書。
目次
序章 ぶどうを摘みし者
第1章 ぼくが最初にやったこと―『ガラスの動物園』
第2章 はるか楽園を追われて―『欲望という名の電車』
第3章 ゴドーを待つのではなく―『カミノ・レアル』
第4章 虚構の家―『焼けたトタン屋根の上の猫』
第5章 旅のかたみ―『地獄のオルフェ』
第6章 キャサリンの薔薇―『この夏突然に』
第7章 ぼくがイグアナだったこと―『イグアナの夜』
著者等紹介
市川節子[イチカワセツコ]
1943年生まれ。1969年津田塾大学大学院文学研究科修士課程修了。文学修士。1973年津田塾大学大学院文学研究科博士課程修了。1999年School for International Training,Summer Master of Arts Program(Language Teaching)修了。新潟大学教養部講師を経て、現在、東京女学館短期大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoru
70
『欲望という名の電車』などの名戯曲で知られるテネシー・ウィリアムズ。南部での生い立ちや精神を病んだ姉との紐帯など自伝的事実を織り交ぜて彼の7作品を詳細に分析する書。劇作家として華々しい成功を収めた彼の作品は初期の抒情から抜け出し次第に人間の本質に迫るものとなっていく。寓意劇『カミノ・レアル』、映画化された『去年の夏突然に』『焼けたトタン屋根の上の猫』『イグアナの夜』。時に欲望をぶつけ合い、存在の不安に翻弄される人々を描いた彼の作品は古びることがないだろう。愛と人間の尊厳を求め続けた彼の戯曲が日本でもっと→2022/11/24