内容説明
サービスとは闘いである。サービスに関わる客や提供者が自らの力を示し、相手の力を見極める過程である。サービスとは、ただニーズが満たされ顧客が満足するというものではなく、このような力のぶつかり合いとして価値がある。サービスの本質とは何か?本当のおもてなしとは?これまでのサービスの考え方を逆転させる意欲作。
目次
サービスの複雑さ
第1部 サービスのやりとり(鮨屋におけるやりとり;ファストフードのやりとり;イタリアンとフレンチレストランの比較)
第2部 サービスの理論(闘いとしてのサービスの価値;闘いの方法)
第3部 サービスの実践(サービスデザイン)
サービスと向き合う
著者等紹介
山内裕[ヤマウチユタカ]
京都大学経営管理大学院講師。京都大学工学部情報工学科、同大学院情報学研究科社会情報学専攻修了(情報学修士)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California,Los Angeles)、UCLAアンダーソン経営大学院(UCLA Anderson School of Management)博士課程修了(Ph.D.in Management)。ゼロックス(Xerox)社パロアルト研究所(Palo Alto Research Center/PARC)研究員を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
このこねこ@年間500冊の乱読家
2
⭐⭐⭐ 「なぜ高級寿司屋の職人は無愛想なのか?」という疑問から端を発し、サービスの本質を見極めて行く本書。 「相手に気付かせないことがサービス」 「一部の人のみ気付けるようにするサービス」 なと、単に顧客満足度を上げるだけに留まらない本質を学べました。2021/08/21
カエル子
2
いきなりプロトコル分析とか出てきて、ひぇ~となるが、そこはグッと耐えて読み進めましょう。“おもてなし”は客を甘やかすことではないってこと、サービスは提供する側とそれを受け取る人があってはじめて成立するし、一方通行のコミュニケーションであるはずがない。これを読んでいるときに出会った眼光鋭い美人の店員さんは確かにサービスを“闘い”と捉えていたように思う。この本とともに強烈に私の記憶に刻まれました。そういう本気でサービスを提供しようとしている人からのサービスを受けたいと思うなら、こちらも戦闘態勢で臨むのが礼儀。2015/07/04
tkokon
0
【共創】いきなり寿司屋のカウンターでの顧客との会話が出てくる。寿司屋という不親切な(お品書きもなく、値段もない、お作法もよくわかならい)環境で、親方と顧客が言葉のやりとりでお互いの期待を見定めて、サービスをチューニングしていく。その過程は、決して「くつろぐ」場でも「至れり尽くせり」でもない。サービスとは客が金を払って「さぁ、金を払ったからあとは私を満足させてくれたまえ」というものではないのだ。一緒に作っていくものなのだ。だから「闘い」という。私には「共創」がしっくりくる。共に創り出すものなのだ。2017/01/05
ǝsnɹɐu
0
「かゆいところに手が届く」だけが良いサービスではなく、高級寿司屋やフランス料理店では、「細やかに気配りし徹底的に尽くす」とは真逆のアプローチをとる。過度な気配りは顧客の満足度を低下させることがあり、提供者と客の相互尊重に基づく「闘い」が真の価値を生む。サービスの中には、この緊張感による心地よさも存在する。2021/08/09
Q_P_
0
サービスは単に払ったお金分のサービスを受けて、払ってもらったお金分のサービスをするというものではない。サービスデザインは客やその要求から開始するのではない。歴史的なテクストから始める。2022/11/21