出版社内容情報
《内容》 治癒率がめざましく向上してきた小児白血病の臨床に必要とされる知識の全てを,最新のデータ,知見により実践的に解説したものである.小児白血病の治療には医師のみならず看護婦,臨床心理士,ソーシャルワーカー等との協力による包括医療が要求される.本書は小児白血病の診断,各種治療法の実際に併せこの包括医療に必要とされる知識を示した.厚生省小児白血病研究班による数多くの成果を,実際臨床上役立つよう集大成し,ハンドブック化した今日の決定版である.序 本書は,我々の包括医療へ向けての実践と,厚生省小児白血病研究班の臨床的・基礎的研究を含めた数多くの成果を,実際臨床上役に立つ形で集大成し,ハンドブック化したものである.いわば,小児白血病の診療に関わる研究について我が国の現在の最高水準を示すと共に,我々が日夜苦慮しつつ,反省しつつ行っている実際臨床の情報を纏めたものである. これまで5年間続いた厚生省小児白血病研究班は,我が国の小児白血病の診療・研究に携わる多くの医師の協力を得て,数多くの基礎的・臨床的研究成果を生み出した.特に,従来のがん研究が多くは基礎的研究に集中するなかで,小児科が真正面から取り組んだ臨床的研究は,実際に役立つ成果として高く評価されている.このことは,小児白血病研究班の継続が決定したことによっても明らかである.今後とも,研究班を中心とした小児白血病の研究の進展を心から願っている. 子供が慢性的な病気になった場合,本人はもとより,御両親・兄弟など周囲の人々にも各種の大きな負担が掛かって来る.成長期の子供が立派な大人になれるように,病気を上手に克服出来るように,医療側と御家族の密接な協力と共に,家族全体を支える包括医療も重要である.我々も包括医療を目指して地道な努力を続けている.その一端を御紹介するのも本書の目的である. 本書が病める子供達の日常診療上お役に立つことが出来れば,望外の幸せである.また,御意見・御注文・御叱正があれば是非ともお聞かせ頂きたい.今後の糧とさせて頂く所存である.1996年9月長尾 大 《目次》 目 次1.はじめに 〈長尾 大〉 12.小児白血病の疫学 〈月本一郎〉 4 I 発症頻度……4 II 病 型……7 III 病型別年齢分布……8 IV 性 差……9 V 発症要因……9 VI 予 後……11 VII 晩期障害……153.小児白血病の診断と分類法 〈花田良二〉 17 I 白血病の診断と分類の手順……17 II 特殊な白血病……274.小児白血病と染色体・遺伝子異常 〈林 泰秀〉 30 I 急性リンパ性白血病……30 II 急性骨髄性白血病……35 III mixed lineage leukemia……38 IV 骨髄異形成症候群……40 V 慢性骨髄性白血病……40 VI 乳児白血病……41 VII Down症候群に発症した白血病……415.ALLの化学療法と予後解析―東京小児がん研究グループの共同研究をモデルに― 〈 田昌宏・細谷亮太・中澤24be平〉 45 I 小児ALL共同治療研究……45 II TCCSG L84-11プロトコールの長期追跡……56 III TCCSGプロトコールL95-14……65 IV 化学療法実施時の注意事項……766.AMLの化学療法と成績 〈気賀沢寿人〉 81 I 最近の化学療法による主な成績……81 II 共通プロトコールANLL91の中間成績……84 III ATRA療法……897.CMLの各種治療法と成績 〈松山孝治〉 93 I 若年性慢性骨髄性白血病……93 II 成人型慢性骨髄性白血病……97 III 名古屋第一赤十字病院における小児CML……1288.同種骨髄移植の方法と成績 〈豊田恭徳〉 145 I 白血病治療における造血幹細胞移植……145 II 同種骨髄移植……1479.自家骨髄移植の方法と成績 〈豊田恭徳〉 160 I 方 法……160 II 合併症対策……162 III 成 績……162 IV 今後の展望……16210.末24b0血幹細胞移植の方法と成績 〈豊田恭徳〉 164 I 末24b0血幹細胞移植とは……164 II 方 法……164 III 自家骨髄移植の比較……165 IV 同種PBSCT……166 V 成 績……166 VI 各造血幹細胞移植の成績の比較……16711.臍帯血幹細胞移植療法 〈西平浩一〉 169 I 臍帯血幹細胞移植の理論的根拠……169 II 臍帯血幹細胞の質的特徴―増殖能よりみた骨髄細胞との比較―……169 III 胎盤臍帯血の幹細胞の密度……170 IV 胎盤臍帯血の採取法と移植に必要な幹細胞の採取……170 V 臍帯血幹細胞移植の現状……173 VI 臍帯血幹細胞移植を行った急性前骨髄球性白血病の自験例……173 VII 臍帯血バンク……17412.支持療法の重要性 〈気賀沢寿人〉 176 I 無菌室/無菌ベッド……176 II 血小板輸血……178 III 抗菌剤の選択と使用法……178 IV ガンマグロブリン……181 V サイトカイン……18113.長期予後とQOL 〈後藤晶子〉 188 I ALLにおける全頭蓋照射の影響……188 II アントラサイクリン系抗腫瘍剤の心毒性……191 III 骨髄移植におけるTBIの影響……191 IV 二次癌……192 V 呼吸機能……192 VI 肝機能……193 VII トータルケアー……19314.小児白血病の看護 〈町田明美・伊藤清子〉 197 I 看護目標……197 II 看護のポイント……197 III 化学療法時の看護……200 IV 骨髄移植の看護……20415.家族への説明と対応 209 I 医師の立場から……〈気賀沢寿人〉 209 II 看護婦の立場から……〈町田明美・伊藤清子〉 211 III ケースワーカーの立場から……〈山本文子〉 214 附1.がんの子供を守る会 〈西平浩一・稲野美喜子〉 217 附2.主な小児がん白血病治療研究グループ一覧 〈田昌宏〉 220 索 引……221
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