出版社内容情報
長期間、財務官を務めた著者が為替政策の考え方とアジア金融協力の構想を明らかにする。通貨当局の行動の背景が示される。書き下ろしと本邦初公開の海外講演録。
内容説明
20世紀末のITバブル崩壊後、成長のエンジンを失った世界経済は、グローバル・デフレ突入を目前にしている。そうした中で、円高・株安に苦しむ日本の通貨当局は、どのような為替政策をとり、先進各国と経済政策の話し合いを重ねてきたのか。1997年のアジア通貨危機を教訓として強化されたアジア金融協力は、どこまで進展しているのか。日本の通貨外交の最前線に立ってきた著者が、世界経済の中の「円のいま」を明らかにする。
目次
序章 円とグローバル・エコノミー 円の国際化こそ究極の為替政策
第1章 束の間の明るさをもたらしたIT革命―1999年7月の財務官就任から2000年1月の東京G7まで
第2章 グローバリゼーションとどう向き合うか 国際金融システムの課題―2000年1月から2000年9月のプラハG7まで
第3章 進展するASEAN+3の協力体制―2000年9月から2001年4月のワシントンG7まで
第4章 アジア共通通貨への道―2001年4月から2001年10月のワシントンG7まで
第5章 円安局面の到来―2001年10月から2002年2月のオタワG7まで
第6章 不安定化するドル円レート、日米株価―2002年2月から2002年4月のワシントンG7まで
第7章 鮮明化した世界経済の変調―2002年4月から2002年9月のワシントンG7まで
第8章 グローバル・デフレへの懸念―2002年9月から2003年1月の財務官退官まで
著者等紹介
黒田東彦[クロダハルヒコ]
内閣官房参与。一橋大学大学院経済学研究科教授。1944年生まれ。67年東京大学法学部卒、大蔵省入省。71年オックスフォード大学経済学修士号取得。主税局、国際金融局などを経て、96年財政金融研究所長。97年国際金融局長、98年国際局長。99年から3年半、財務官を務めた
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