出版社内容情報
途上国ではなぜ成長しても貧しい人が減らないのか。成長の質やパターンの分析と実証に基づき、高成長ではなく、質の高い成長への転換を勧める世界銀行レポート。
内容説明
経済成長はこれまで貧困緩和の重要な柱として位置付けられてきた。だが多くの発展途上国をみると、経済成長率と貧困率の低下であまり密接に関連しているとはいいがたいケースがある。当初期待されていたほど、発展途上国の貧困率は下がっていないし、貧富の差も縮小していない。本書は、これまでの成長のパターンを見直し、貧困緩和には経済成長だけではなく、どのように成長するかという成長の「質」が重要だということを、さまざまな国のデータなどを検証しながら提示する。具体的には、教育投資、雇用機会の拡大といった人的資本への投下や、ガバナンスの重要性、環境への配慮といった観点が重要であり、これまでの物的資本偏重だった投資や援助などを変更していくべきだと提言している。
目次
概観
第1章 さまざまな発展の記録
第2章 資本・成長と社会的厚生
第3章 機会分配の改善
第4章 自然資本の維持
第5章 グローバルな金融リスクへの対処
第6章 ガバナンスと汚職防止
第7章 変革の機会をとらえる
著者等紹介
小浜裕久[コハマヒロヒサ]
1949年、川崎市に生まれる。1972年、慶応義塾大学経済学部卒業。1974年、同大学院経済学研究科修士課程修了。1974~87年、国際開発センター研究員、主任研究員。現在、静岡県立大学国際関係学部教授(開発経済学、国際経済学)
織井啓介[オリイケイスケ]
1957年、松本市に生まれる。1982年、一橋大学経済学部卒業。1982~95年、協和銀行(現・あさひ銀行)、(財)国際金融情報センター、あさひ銀行に勤務。1998年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。現在、国際協力銀行開発金融研究所専門調査員、一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程
冨田陽子[トミタヨウコ]
1946年、苫小枚市に生まれる。1969年、慶応義塾大学経済学部卒業。現在、セーコロ21所属
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