内容説明
本書は、「日本国」という国家の中で、幕府と朝廷という二つの政府が繰り広げる支配と協調、争いを霜月騒動から観応の擾乱までを建武政権を中に置いて検討している。そして、その中で国家や王権の問題にも触れ、動乱の中での権力の特徴は何であったのか、また王権の構造はどうなっていったのかというような点も触れる。
目次
第1章 歴史と文学の狭間
第2章 鎌倉末期の公武確執と政治思想
第3章 徳政と公武政権
第4章 建武政権の成立をみる
第5章 二つの政府から一つの権力へ
第6章 「公武一統」新政権の崩壊過程
第7章 再度公武権力の支配へ
終章 観応の擾乱と公武両政権
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skashu
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用語がやや難しくて高校の歴史レベルの知識覚えてないと辛い。『太平記』のストーリーが破綻してる事を知り、逆に興味を持った。儒教的な「徳」観念と動乱の時代のミスマッチ。2009/11/20
こんがら童子
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中世では天皇を暗殺しようと企てるものがいた。もちろん明治から昭和の敗戦までの間では考えられないことだっただろうし、今でもそれは禁忌的なものであるとどこかで誰もが思っているはず。それが中世には全くなかったとは思わないが、しかし企てたものが少なからずいたということは、天皇に対する認識が明治以降とそれ以前では違うと言うことなのだろう。とすれば、天皇はどういう位置づけだったのか。2010/04/29