内容説明
本書は、高校数学と大学数学の連続性と断絶を意識して、大学数学に困惑しがちな読者を、線型代数の魅力的な世界へ誘えるように配慮したものである。読者がつまずきやすい理論の核心には、抽象的な記述の背後に潜むストーリーを教育的配慮に基づいて丁寧に解説し、解説と解説の間には、敢えて高校数学的なテイストで、理論を理解するための鍵となる少数の本質的な例題を配して学習の進度が確認できるように配慮した。
目次
ベクトルの基本概念
行列の基本概念
逆行列の概念、正則行列の概念
連立1次方程式
階数(rank)の概念
行列式に向けて
行列式の概念とその計算
余因子行列の概念
線型空間の基本概念
線型空間の発展的概念
線型写像、線型変換の諸概念
線型写像の表現の単純化―基底の取り替え
不変部分空間から固有ベクトルへ
固有値、固有ベクトルの行列と対角化
複素行列の世界
対角化の応用1―2次形式
対角化の応用2―微分方程式、差分方程式
ジョルダンの標準形1
ジョルダンの標準形2
著者等紹介
長岡亮介[ナガオカリョウスケ]
1947年、長野県に生まれる。1972年、東京大学理学部数学科卒業。1977年、東京大学大学院理学系研究科科学史科学基礎論専門課程博士課程単位取得退学。津田塾大学学芸部助教授、大東文化大学法学部教授、放送大学教授を経て2009年4月より、明治大学理工学部数学科教授。専門は数理思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中年サラリーマン
7
比較的丁寧な本だと思う。双対空間やら商群が唐突にでてたのは訳がわからなかったが・・・。これは他の本で補完するしかないのだろうな。2017/08/29
yohira0616
1
院試に向けての線形代数の復習。基底がうんちゃらとか直和分解がうんちゃらは読み飛ばした。ジョルダン標準系についてはもう少し練習が必要だと思った。2013/07/12
未定
0
読んだのが随分前なので増刷で改訂されたかもしれないが,少なくとも初版一刷はあまりにも誤植が多すぎて,しかも誤植のサポートページもなく入門で読み切るのは不可能に近いと思えた.
kamekame
0
数学的に丁寧に解説がされており、途中にある本質例題は十分な解説で理解を助けてくれる。しかしかなり数学ベースなので、概念構築的な要素は少し足りないように感じた。 当たり前だが後半に進むほど難しく、直和分解、対角化応用あたりの話は飛ばしてしまった。(おそらく圏論の知識が無いので、ベクトル空間に関連する説明の理解が不足した。)2019/06/11