内容説明
人類の終末は思わぬ形で訪れた。50年前の“変事”以来、赤ん坊が生れなくなったのだ。地球にはもう子供も青年もいない。世界の平均年齢は70歳に達し、滅びゆく人類の苦闘を記録するための機関DOUCHが設立される。その一員である“灰色ひげ”は、妻と友人とともに川を下る旅を続けるが…。50年前、地球に何が起こったのか。『地球の長い午後』の著者が描破する、恐るべき未来像。
著者等紹介
オールディス,ブライアン・W.[オールディス,ブライアンW.][Aldiss,Brian W.]
イギリスを代表するSF作家、評論家、アンソロジスト、SFアート研究家。1925年、イングランド生まれ。幼少時よりアメリカのSF雑誌を愛読して育ち、54年に英国のSF専門誌サイエンス・ファンタジイでSF作家デビュー。『地球の長い午後』(ハヤカワ文庫SF)でヒューゴー賞を、短編“The Saliva Tree”でネビュラ賞を受賞。また評論書の邦訳に、SF史研究の決定版と謳われ英国SF協会賞を受賞した『十億年の宴』と、その続編でヒューゴー賞を受賞した『一兆年の宴』(ともに東京創元社)がある
深町眞理子[フカマチマリコ]
1931年生まれ。1951年、都立忍岡高校卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルビレオ@海峡の街
8
さして劇的な展開も無く、現在と過去の回想との繰り返しで物語は進む。放射能の影響で、子供の生まれなくなった世界。老人ばかりの世界。そう遠くない未来に実際起こってもおかしくない。オールディス氏の作風の割にはそんなに突飛ではない佳作。2011/12/10
ぐるぐる244
6
下鴨古本まつり。超駄作、という感想を目にしてしまったので、恐る恐る読み始めたが、私には好きな話だった。タイトル通り、核実験によって子どもが生まれなくなった地球が舞台。殆ど起伏がなく淡々と話が進むが、たまに挟まれるもっともらしい文明批判めいた文章より、衰退した終末のロンドンの風景が素晴らしいと思う。ところで、この本、サインがあるんだけど、ホントにオールディスのかな?2015/09/24
ろびん
2
設定荒くないかとは少し思いつつ……核かあ。2019/06/13
記憶喪失した男
2
着想は面白い。文明崩壊のアイデアのひとつを描いた作品だろう。しかし、物語は退屈でおすすめできない。
yunomi
1
言わば、究極的な高齢化社会を舞台にしたディストピアSFなのだが、世界を埋め尽くす老人たちにもそれぞれ、積み重ねた歴史がある。個人の「老い」と世界の「老い」の過程が時系列をシャッフルした形で語られ、読み進めるうちに生きる事の過酷さと美しさが浮かび上がる。原色に彩られた「地球の長い午後」と対照をなす、モノトーンの静謐さが心地よい。2016/04/02