創元推理文庫
時の声

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  • サイズ 文庫判/ページ数 281p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488629052
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

80
超音波音楽の流行によってお役御免になったプリマドンナと口が利けない青年の交流を描く「音響清掃」は落ち目になってから真の意味で献身的になった青年が声が利けるようになってから利用しつくした上で目的を達成したら拒絶するプリマドンナは彼に復讐していたのだろうかと思ってしまうのが寂しい。そして「深淵」は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を連想。リョコウバトやドードーなどを絶滅に追いやった最後の人々もあの若者みたいな人だったのだろう。しかし、散々、狩り取ったのに絶滅危惧種だからこそ、守ろうとする人間の傲慢さも抉る。2016/09/08

催涙雨

53
今までに読んだバラードの作品は個人的に好みの激しく分かれるものばかりだったのだが、この短編集に収録されている作品はすべてすばらしいもので、また少し印象が変わった。破滅的なイメージのなかに人間の精神が呼応する様を鮮烈に描き出している作品が多い。「時の声」と「マンホール69」は退廃的な世界観とともに時間が摩滅していくことへの恐怖感が強く出ている作品。睡眠が人間のインナースペースに与える影響に対する独特の眼差しは読者への省察を促す。「音響清掃」は収録作のなかでもっともわかりやすく面白い作品。音声の残留物と唖者と2019/07/08

Vakira

30
兎に角興奮。バラードの7編もの短編集。今更ながらバラードなかなかの博学。放射線、生物進化、遺伝子、音響、神経、睡眠等ある程度知識が無いとその場面環境が設定できないと思うのだがよく勉強しております。描く物語はSFの設定を借りた人間ドラマ。そしてその設定アイデアも奇抜で普段味わえない世界へ誘う。そのいくつかは映画になりそうなストーリー。世界の終焉であったり、人生の終焉であったり、どこか悲哀を感じます。今回の収穫は6編目の「待ち受ける場所」。30数年ぶりの凄い発覚。ストーリーは2001年そっくり。2016/12/01

波璃子

23
初めてのバラード。精神の奥深くに広がる深淵を覗いたような気持ちになった。人間の奥底に眠るものはもしかすると宇宙よりも広くて闇に満ちているのかもしれないと思う。今度は長編を読んでみたい。2016/11/10

さっちゃん

20
SFは苦手なジャンルなのだが、これはしっくりとはまった。破滅の手前の息詰まるような濃縮された時間と胸の奥底が疼くような甘美。これがバラードならはまりそうだ。2016/04/27

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