出版社内容情報
下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。気取らない料理で客の舌と心をつかむ、変人シェフ三舟お得意のヴァン・ショーにはどんな物語が隠れているのか? フランス修業時代もシェフは名探偵だったのです。
内容説明
下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。フランスの田舎で修業した変人シェフの三舟さんは、実は客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。田上家のスキレットはなぜすぐ錆びる?ブイヤベース・ファンの女性客の正体は?ミリアムおばあちゃんが夢のように美味しいヴァン・ショーを作らなくなったわけは?シェフの修業時代も知ることができる魅惑の一冊。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年に『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年に『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
622
仏料理店での日常ミステリーを描いたシリーズ第二弾。ここでも三舟の洞察力が冴える!「憂さばらしのピストゥ」は料理人としてのプライドが描かれた秀作。ブイヤベースの話は三舟の人間らしさがよく出ていた。泣くな三舟!「氷姫」は圭一の語りが新鮮。「天空の泉」はフランス時代の三舟を描く。名作「星の王子さま」が登場し、オムレツと虚実を見事に表現。続く表題作もフランス修業時代の三舟。後に開く店の名とヴァンショーはここから来ている。近藤の筆が読者を感心させた巻。このシリーズ、「マカロンはマカロン」に続く。2019/04/19
さてさて
568
『どう?』と訊かれて『パ・マル(悪くないわね)』と返すそんな言葉を店名にしたフランス料理のレストラン『ビストロ・パ・マル』を舞台に、食とミステリーが絶妙な塩梅で読者の前に給仕されるこの作品。サクッとスッキリ、それでいて味わい深さの残るフランス料理を食べたような読後感が待つこの作品は、若き日の三舟シェフの姿を描くことで、物語に深みを感じさせる絶妙な隠し味が施されていました。食を題材にした小説も得意とされる近藤さんの王道とも言えるこの作品。冷めないうちに笑顔で美味しくいただきたい、そんな素晴らしい作品でした。2022/05/27
ひさか
494
ミステリーズ2006年4,6,8,10月号、2007年6月号掲載の5編と2編の書下ろし。2008年6月刊。2015年2月文庫化。シリーズ2作め。日常の謎を楽しく解き明かすお話が良くできていて、面白かった。2015/09/30
へくとぱすかる
428
連続して三舟シェフのシリーズを読む。スキレット(フライパンの一種らしい)の話、おいしいパンとは果たしてどんなパンなのか、ブイヤベース(私は食べたことがない料理)をめぐる心、などなど。最も心苦しい話は「氷姫」。ここに出てくる「ぼく」があまりに痛々しく、気の毒でならない。そして登場人物の過去を描く二つの話が印象的だ。こんな歴史があってこその「パ・マル」なんですね。2017/01/10
中原れい
394
またも一気読み(途中になった本ごめん)。パ・マルのギャルソン高築くんの語りだけでなく、お客さんたちの語りによる物語も加わった第2集。解説によれば「作るがわからだけで1冊、でも料理は食べる人もいて完成なので食べる側の語りもあるのだ」との読み。なるほどね。コミカルな描写あり、思いやりがすれ違う切なさあり、と、今回も優しい美味しい話でした。シェフま昔からよく見て聞いてす名探偵だったのですね。2016/08/14