創元推理文庫
パーフェクト・ブルー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 355p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488411015
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

高校野球界のスーパースターが全身にガソリンをかけられ、焼き殺されるというショキングな事件が起こった。俺、元警察犬のマサは、現在の飼い主、蓮見探偵事務所の調査員、加代子と共に落ちこぼれの少年、諸岡進也を探し当て、自宅に連れ帰る途中、その現場に遭遇する。犬の一人称という斬新なスタイルで、社会的なテーマを描く、爽快な読後感の長編デビュー作、待望の文庫化。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

312
宮部みゆきさんの長編デビュー作。高校野球のスター選手が殺害され遺体を焼かれる陰惨な事件。事件に遭遇した蓮見探偵事務所では異変が続き、遺族から事件の再調査の了承を得る。事件を追うにつれ判明したのは製薬会社の深い闇。そして遺族の哀しい選択だった。探偵事務所の元警察犬マサの視点で描かれる。宮部みゆきさんは人の持つ傲慢さや冷酷さ等の感情を描くのが実に巧みだと思う。本作でも製薬会社のデータを採取する為の、人を人と思わない倫理に反する行動からも非常な傲慢さが伝わるのだ。荒削りと思える部分もあるが、充分に楽しめた作品。2018/01/06

HIRO1970

302
⭐️⭐️⭐️89年初出の宮部さんの初の長編作品の92年加筆訂正版。初期作品なのでディテールは確かに荒削りな感じはしますが、力強さがそれを上回りぐいぐい話に惹き込まれる物語でアッと言う間に読んでしまいました。どんな天才でも努力はするのでしょうが、初めての長編でこの精度と面白さはホトホト恐れ入りました。これからも古いものから楽しみに読み進めたいです。皆さんにもオススメします。2015/11/13

Tetchy

224
犬の一人称叙述という文体についての感想は、よく健闘したなぁというのが正直な感想だ。綱渡りのような物語進行を感じ、物語そのものよりも作者が馬脚を現さないかとヒヤヒヤしながら読んだ記憶がある。しかしやはりこの奇抜な叙述を押し通すのは難しく、途中で三人称叙述を採用せざるを得なくなっているのは致し方ないところか。タイトルの由来ともなっている薬物がらみの陰謀はしかし、作者のストーリーのための設定という枠組みから脱しきれてなく、その嘘に浸れなかった。2009/09/13

ehirano1

198
著者の“長い長い殺人”では語り手は財布。本書ではなんと犬!このように語り手がヒト以外の場合を文芸用語では“異化効果”と言うらしいです(死神の精度(伊坂幸太郎)の解説の項を参照)。本書ではストーリーの展開上流石に犬では語りえない箇所が発生しており、どうするのだろう?と思いましたが“幕間”という項で置き換えて乗り切っており、異化効果に一貫性を持たせた技はうまいなぁと感心してしまいました。物語はもとよりそれを成すフレームやパーツも大切な要素として扱い且つ細部に拘る作家さんなんだと感じます。2016/09/14

kaizen@名古屋de朝活読書会

193
中のよい兄弟の兄の死亡。 殺したのは誰か。 探偵小説、運動競技小説の二本柱かと思って読み進みました。 最後になって、社会派小説、家族小説だと分かりました。 推理小説の王道を行く、だいどんでんがえしというか、 種明かしというか。文庫版解説 鮎川哲也2013/04/29

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