出版社内容情報
江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』刊行から五十余年。創元推理文庫が21世紀の世に問う、新たなる一大アンソロジー。三世紀、およそ二百年にわたる短編ミステリの歴史を彩る名作傑作を、書評家の小森収が選出、全6巻に集成する。第1巻にはモームやフォークナーなどの文豪、サキやビアスといった短編の名手、ウールリッチやコリアなど新聞・雑誌で活躍した俊才による珠玉の12編を、すべて新訳で収録し、編者の評論とともに贈る。
内容説明
江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』を擁する創元推理文庫が21世紀の世に問う、新たな一大アンソロジー。およそ二百年、三世紀にわたる短編ミステリの歴史を彩る名作・傑作を評論家の小森収が厳選、全6巻に集成する。第1巻にはモームやフォークナーなどの文豪、サキやビアスら短編の名手、ウールリッチやコリアたち俊才による珠玉の12編をすべて新訳で、編者の評論と併せ贈る。
著者等紹介
小森収[コモリオサム]
1958年福岡県生まれ。大阪大学人間科学部卒業。編集者、評論家、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
133
創元推理文庫には「世界推理短編傑作集」という江戸川乱歩が編纂した全5巻のアンソロジーがあります。今回それに収められていないものを全6巻ということで評論家の小森さんが編纂していくようです。その第1巻目ですが分厚いと思ったら160ページ近くが小森さんの論文で「短編ミステリの二百年」ということで連載になるようです。今回収められているのは、サキ、ビアス、モーム、ウールリッチなど有名な作家が多いのですが今まで未読のものがほとんどでした。ただジョン・コリアの「ナツメグの味」だけは覚えていました。2019/12/18
燃えつきた棒
47
冒頭を飾る短編「霧の中」の退屈極まる長々しさや、その後に続く作品のいずれ劣らぬ薄味さなどの数々の不満を、一篇の短編が帳消しにしてくれた。 それは、フォークナーの『エミリーへの薔薇』だ。 思いもかけぬフォークナーとの出会い、それも、かの「ヨクナパトーファ・サーガ」中の一篇だ。 力強い、硬質な文体で描き出される鉄灰色の髪のエミリーが、孤立無援でなんの権力も持たぬ老女が、町とコミュニティを相手に傲然と対峙し、一歩も引かない、その圧倒的な存在感。 面白い! そうか、これがフォークナーか。 2021/11/17
Sam
47
最近重い本ばかり読んでいたので少し気軽に読める短編集を。選び抜かれただけあって佳品揃いでしたが、短編集の中でも特に短くてキレのある作品が印象的。「笑顔がいっぱい」は微笑ましくも哀しく、「ブッチの子守り歌」ではほのぼのし、最も短いビアスの「スウィドラー氏のとんぼ返り」にいたっては文字通り大笑いさせてもらった。2021/07/01
cinos
43
乱歩の『世界推理短編傑作選』で選ばれなかった19世紀から21世紀までの短編ミステリを小森収さんが選んだアンソロジー。どの短編も選りすぐりという感じで楽しめました。後半三分の一の小森さんの評論ですが、語り口調なので楽しく読めました。すごくいっぱい短編を読んでいるのに驚きです。ただ、ビアスの「アウル・クリーク」を凡作と書かれているのは残念。この分厚さと充実ぶりで6巻まで出るかと思うとワクワクします。2019/12/01
ネコベス
37
小森収氏が編集した12作の短編と160ページに及ぶ評論を収録したアンソロジー。評論家やコアなマニアにとっては貴重な評論なのだろうが、志の低いただ面白い話が読みたいだけの自分のような末端読者には160ページの評論よりもその分で別に四~五篇載せて欲しかった。1901年発表で洒落たミステリ作品のリチャード・ハーディング・デイヴィス「霧の中」、呆気にとられるあほらしいオチのアンブローズ・ビアス「スウィドラー氏のとんぼ返り」、コーネル・ウールリッチ「さらばニューヨーク」、ジョン・コリア「ナツメグの味」が良かった。2019/11/27