内容説明
新婚旅行で西海岸を離れ、デッカー刑事はNYの一廓を訪れた。新婦リナの亡夫の家族と新年祭を過ごすためだったが、思いがけず、過去会う機会のなかった生母との邂逅をはたす。だが動揺も収まらぬうちに彼女の孫息子が失踪。不安にむしばまれていく実の家族を前に、デッカーは異郷で困難承知の捜査に取り組む。現実の矛盾を一身に引き受けた生身の男の苦闘に、心が揺れる第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
23
デッカー刑事シリーズ。ロサンゼルス在住のデッカー刑事は新婚旅行を兼ねてリナの家族がいるニューヨークに。ユダヤ教は大家族が普通なのであろうか?「ブリキの太鼓」のように一族揃って食事。そこでデッカーは自分を産んですぐ手放されてしまった実母に逢う。恨みと戸惑いでこれまで以上にエキセントリックになるデッカー。そこでまた事件。ニューヨーク警察署のお決まりの描写。生まれ変わったらニューヨークで警察官になりたい。ラストで思いがけず泣けてしまった。2016/01/29
Yoko
13
シリーズ中でも大きな岐路となるこの第4作。人探しを引き受けるのだがハネムーン休暇中なためホームグラウンドが舞台ではない。彼の出自と個人的な問題に深く関わるがゆえにかかる大きなストレス。様々な理由からユダヤ教に身を投じたとはいえ、人間としての不完全さから揺れるデッカーの心理がリアルに響く。原題atonementを「償い」でなく「贖い」としている意味は?それぞれが自身の罪を認め差し出すものとは?ラストシーンが素晴らしかった。2016/03/21
ほちょこ
11
デッカーとうとう結婚!と思いきや、生みの母親との突然の対面、さらに子供の失踪。彼はどうやら苦労性。40過ぎてもさらに様々な問題を抱えて生きていくんだな。ラストの異父兄弟との対面にちょっと暖かさを垣間見た。2016/03/27
Koning
7
なかなかに重い巻でしたね。しかしNYって、アメリカ二大ユダヤ人コミュニティー同士というか、そういう土地がまたらしい舞台でしたね。 成長するってのはこういうことなのかねぇ等と年寄りめいてきてしまう(汗。内容的には陰惨な事件と共に家族とか血縁とかこういうマイノリティーコミュニティでの厄介ごとも含めて、UglyでLovelyな話ですた(って、TwinTownかけながら読んだからトマスが出てきてしまう(w2012/11/07
あさ
5
リナ&デッカー四作目。ハネムーンをニューヨークで過ごす、だけの筈が、失踪した少年探しと何重にも絡まる家族の物語に。サイコな事件はグロテスク。ラストは映画のように幕切れ。2014/12/27