内容説明
ネオ・ナチの活動家である老人がチェコスロバキアの秘密警察に逮捕され、プラハにある難攻不落の要塞の独房に収監された。私、エヴァン・タナーの今回の任務は、そのナチ老人を奪取し、国外へ連れ出すこと。プラハへ向かう列車に乗り込んだ私だったが、いきなり絶体絶命のピンチに見舞われて…。困難極まりない任務の行方は?眠らない男の活躍を描く、痛快シリーズ第二弾。
著者等紹介
阿部里美[アベサトミ]
成蹊大学英米文学科、東洋英和女学院大学人間科学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
129
ローレンス・ブロックのこのシリーズは初めてでした。しかも第2作目の方を先に読んでしまいました。書かれたのがかなり古いのですが、あまり古臭い感じは受けずに、主人公が結構活躍する話です。結構映画になりそうな話で、ブロックのほかの作品とは毛色が若干異なる気がしました。楽しめます。ブロックのものはほとんど読んでいるのでこのようなものを探して読んでいます。2016/08/24
Panzer Leader
45
チェコの古城に監禁されているネオナチの老人を脱走させる任務をまかされた眠らない男タナー。最近アクションスリラーやコメディー物の傑作を読んだためか、すべての面でなんか中途半端。出版された50年前ならともかく、今の眼でみるとちょっとツラい。ブロック好きでお暇ならどうぞとしか言えない。2018/10/04
Tetchy
30
前作は怪盗物という先入観が邪魔をして存分に愉しめなかったが本作では眠れないスパイの物語であることがあらかじめ分かっていたので物語に没入できた。数々の危難を乗り越えるタナーの持ち味は機転がすぐ回る頭の良さや不眠症を長所にして体得した数ヶ国語を操る語学力もそうだが、やはり一番の強みは人脈の広さ、つまりコネである。各国の団体、過激派グループ、狂信者グループの会員となり、逢ったこともない相手と親密になるほどの交流をしているタナーのコネの強さだろう。まるでサラリーマンみたいだ。本書以降シリーズの訳出がないのが残念。2013/05/21
らくだ
7
話の展開や登場人物はコントみたいだけど、それが持ち味でしょう。目的のためには手段を選ばないけど、(原則)人は殺さない主人公は、バランスがとれてる。救出されるナチの幹部は「悪者」というより嫌みなジジイ。最後のターナーの行動は、作品の特性として個人的にはどうかなとおもった。(^^)2011/07/31
左近
5
シリーズ2作目。タナーの新たなミッションは、チェコの古城に監禁されているナチスの要人を秘密裏に連れ出し、彼の握っている情報を手に入れろ、というもの。暇に飽かせて加入した、ありとあらゆる秘密組織の人脈をフル活用し、前回同様、各地で騒動を巻き起こしながらも任務を果たすタナーだが、途中で、「本当の自分は何なんだ?」と、アルセーヌ・ルパンみたいな疑問に突き当たったりする。ラストでやや意外な結末が明かされるものの、欧米におけるナチスへの拒否反応は、日本人が思う以上に強いことを考えれば納得できるか。2012/06/23