内容説明
正当防衛とはいえ、人を殺したことに苦しむヴァランダー。警察官を続けるか否か悩む彼のもとへ、友人の弁護士が訪ねてきた。父親の死に腑に落ちない点があると言う。しかしヴァランダーに他人に力を貸す余裕はなかった。だが警察を辞める決心をした彼が見たのは、その友人が殺害されたという新聞記事。事件を追い始めた彼の身に犯人の魔の手が迫る。ゴールドダガー受賞シリーズ。
著者等紹介
柳沢由実子[ヤナギサワユミコ]
1943年岩手県生まれ。上智大学文学部英文学科卒業、ストックホルム大学スウェーデン語科修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
131
ヴァランダーは、スウェーデンの一地方都市に住んでいるのに、なぜか世界規模の犯罪に巻き込まれてばかり。今回の敵は、正体がなかなか見えてこない不気味さ。城に住む笑う男の笑みをヴァランダーは消せるのか。チームワークが本当に素晴らしいスウェーデン警察。今回はそれに検事も加わった。スウェーデンに行きたくなる。2018/07/10
巨峰
95
前作「白い雌ライオン」事件で精神的にも大きなダメージを負ったクルト・ヴァランダー警部が立ち直るきっかけとなったのは、知り合いだった弁護士が被害者となった殺人事件。弁護士は父の交通事故死に非常な疑念があり死の直前に警部を訪れていたのだ。警部に立ちはだかるのは、ファーンフォルム城に住む巨大企業の創業者「笑う男」なのか。その行状を暴くためヴァランダー班は精力的に活動するんだけど、結局最後はなぜだか、いつものヴァランダー警部の単独大暴走になる!!!!スケールが大きくて読み応え充分でした。2018/11/09
セウテス
89
ヴァランダー警部シリーズ第4弾。前作で心に深い傷をおったヴァランダーは、休職中であり警察を退職するつもりだった。突然訪ねてきた友人から、父親の死を調べて欲しいと頼まれていたのだが、その友人も殺害されてしまう。ヴァランダーは自分を奮い起たせ、復職し捜査に就くのだった。ファーンフォルム城の持ち主であり、巨大資本の国際企業のトップが「笑う男」なのか。安全な場所にいつも身を置き、人前には出てこない黒幕を相手に、ヴァランダーの暴走は気持ちいい位だ。彼がブルース・ウィリスで固定されたので、新人女性刑事は誰にしようか。2019/07/02
KAZOO
78
マイクル・コナリーもこの読書メーターの紹介でファンになったのですが、このヘニング・マンケルも同じでやはりこの読書メーターでお気に入りの紹介を見るのは私の読書の幅がどんどん広がっています。マンケルのこの本は読みでがあります。犯人は比較的早めにわかりますが、それをどのように追い詰めていくか、興味がわきます。この作者はまだ読んでいない本が多くあるので楽しみです。2015/04/18
タツ フカガワ
70
冒頭、心の病で一年半休職、辞職を決意するヴァランダーの姿に驚く。その彼を翻意させたのは知人弁護士親子の殺人事件と不審な交通事故死だった。やがて捜査線上にスウェーデン経済界の重要人物が浮上する。小さな町の警察署の署長と刑事4人が巨悪に挑む、その奮闘ぶりがとても面白かった。なかでも終盤のハラハラ感が最高! それにしてもこのオヤジ、クライマックスでは毎回コケているような気がする。2023/08/09