内容説明
ユニオン・クラブの談話室で三人のメンバーが雑談に花を咲かせていると、傍らで微睡んでいたグリズウォルドがやおら目を覚まし、奇想天外な挿話を語りだす。優れた洞察力で事の真相を見抜いたという自慢話に終始するのだが、聞いている三人には皆目見当がつかない。さて、賢明なる読者は如何？アシモフが満を持して読者に挑戦する３０の難問奇問。３０編のミニ・ミステリ。
目次
逃げ場なし
電話番号
物言わぬ男たち
狙撃
艶福家
架空の人物
一筋の糸
殺しのメロディー
宝さがし
ギフト
高温 低温
１３ページ
１から９９９まで
１２歳
知能テスト
アプルビーの漫談
ドルとセント
友好国 同盟国
どっちがどっち？
十二宮
キツネ狩り
組み合わせ錠
図書館の本
３つのゴブレット
どう書きますか？
２人の女
信号発信
音痴だけれど
半分幽霊
ダラスのアリス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
29
89年（平成元年）の税抜466円の文庫初版。お色気雑誌に毎月掲載された30編を収録。推理譚だから15編程度でも腹八分目にはなるし、アシモフの知名度なら2分冊しても売れたよ（一気読みも疲れる）。ネタが近いから「黒後家蜘蛛の会」の執筆が滞った由で、決して黒後家の没ネタをSSにしたのではないのが良心的な処。EQMMに書き継がれた分を含めて続編の書籍化が無いのはどういう事情なのか。内容的には概ねスパイ譚で、還暦越えた読者には世界情勢が良く判るし、ベトナムの泥沼戦争を想うと胸が痛むよ。世界平和を祈る。★★★★☆☆2022/09/05
Brooklyn0320
9
短編とショートショートというフォーマットの違いはあるものの、「黒後家蜘蛛の会」と基本的には同根同種の作品です。執筆の時期まで重なっていたらしいので、いくら博覧強記のアシモフとはいえよくネタが持つなぁと思っていたら、やっぱり黒後家の方が割りを食らっていたみたいですね。アシモフらしく論理的な謎解きは健在ですが、日本人には馴染みの薄い英語圏独特のオチが多いですし、こじつけとも取れる論法も多々あります。そんな強引さも、黒後家ではヘンリーが緩衝材になっていたのですが、グリズウォルドにその役割は期待できないです。2015/02/20
かず１号
8
コロナ対応の再読）アシモフのショートショートミステリー・・といえば、黒後家蜘蛛の会シリーズだけど、それとは違い主人公がやたら尊大で偽悪的で好きになれない人物。英語やアメリカの地理が判らないと無理なのも少しあるけど、謎解きは面白い。2020/05/09
spica015
8
これは『黒後家蜘蛛の会』から登場人物の多様さと、丁々発止の会話と、提示される謎から得られる雑学と、探偵役の慇懃さと、作者のあとがきを取り除いた作品である。つまり私にとっては同じフォーマットでも断然『黒後家蜘蛛の会』の方がお気に入りなのだが、作者にとってはそうでもなかったのが驚き。ネタが今となっては古臭くなっても『黒後家』はそれを補う面白さがあるのに対し、本作はそれをカバーするユニークさが物足りない。ついつい辛口になってしまったが、池央耿氏の翻訳はやはり素敵だなと思う。2020/03/04
ミノムシlove
7
黒後家蜘蛛の会のエピソードより短いお話が続く。習慣・教養・知識がないと解けない謎が多いので、多分一年後に読んだらまた新鮮な気持ちで読めそう。黒後家蜘蛛の会のほうが好みではあります。2023/04/19
