創元推理文庫
閉じた本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 322p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488154028
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

事故で眼球を失った大作家ポールは、世間と隔絶した生活を送っていた。ある日彼は自伝執筆のため、口述筆記の助手として青年ジョンを雇い入れる。執筆は順調に進むが、ささいなきっかけからポールは恐怖を覚え始める。ジョンの言葉を通して知る世界の姿は、果たして真実なのか?何かがおかしい…。彼の正体は?そしてやって来る驚愕の結末。会話と独白のみの異色ミステリ。

著者等紹介

青木純子[アオキジュンコ]
1954年生まれ。早稲田大学大学院博士課程満期退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りー

39
惜しい、惜しいなぁ。盲目の主人公を活かした会話文だけの構成は見事だし、それでいてリーダビリティも抜群に良い。ところどころに挟み込まれる不安や疑惑がひしひしと迫ってくるところも非常に秀逸だと思うのだけれど…後半はアイデアが尽きたのか尻窄みな展開に。それってミステリとしては致命的なんじゃなかろうか。のめり込んで読んだ分、がっかりしたのは否めなかった。2014/03/10

seri

34
全編会話とモノローグのみの斬新な構成。事故で眼球を失った盲目の作家と新しく雇い入れたその助手の登場人物もほぼ2人だけ。驚きました。描写がないだけで、こんなにも心細い。会話に頼るだけで実際に起きていることは想像するしかなくて。それはあたかも自分も盲目になったかのようで。ポールの見えないことによる恐怖、その閉ざされた世界の手触りが感じられる。惜しむらくは、ポールの気難し過ぎる性格にこっちまでイラッとするくらいだったことと、後味が良くないのであんまりオススメ出来ないこと。この新感覚はすごく面白いんだけど。2013/11/27

藤月はな(灯れ松明の火)

34
実家への帰省中に父といった本屋さんでこの本を見つけた途端、背筋に衝撃が奔ったので父にねだって買ってもらいました。創元社の海外ミステリーでは珍しいことに登場人物紹介が2人しかおらず、全文章が会話と独白によって占められているため、会話から描写を掴むまでうすぼんやりとした輪郭しか見られない白黒映画を見ているような印象を受けました。徐々に会話から判断していったのですが微かに覚えている時事の違和感に戸惑いました。しかし、それも作者の企みであったのでしょうか・・・・。それならば、まんまと一杯、食わされました。2011/05/23

GaGa

33
会話と独白のみで進行する異色のミステリー。もう少しじわりじわりと謎がとき解されていくのかと思ったが案外最後の方は駆け足気味だった。さほど厚くない本だが、やはりこういう実験手法で書かれた作品は正直読むのが面倒。2011/08/05

ネムル

20
「不思議に思うだろうね。盲人が闇を怖がるなんておかしいだろう」、事故で眼球を失った作家と筆耕者との対談・独白のみで語られる作品。この会話形式が適度に緊張をもたらすが、オチはまあそれしかないよな、という。ミステリのレーベル(創元推理文庫)で割を食っているが、それ以前にもっと雄弁に「盲人」を語れる方法があるのではないかとも感じてしまう。このエレガントな装画・装丁が見事にキマっているのだが、この作品の一番の魅力は英国風の冗談小説としてじゃないかな。2013/11/03

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