内容説明
異国への従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン。下宿を探していたところ、同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ―。永遠の名コンビとなるふたりが初めて手がけるのは、アメリカ人旅行者の奇怪な殺人事件。その背後にひろがる、長く哀しい物語とは。ホームズ初登場の記念碑的長編。
著者等紹介
深町眞理子[フカマチマリコ]
1931年生まれ。1951年、都立忍岡高校卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
126
<マンスリー・ホームズ>ホームズとワトソン博士の初登場。19世紀の倫敦を辻馬車に載った探偵と助手が疾走する。何度も頭の中で反復するイメージはこの作品からすでに完成しているのが素晴らしい。犯罪に対する異常なまでの探求心と記憶力。一般常識よりも犯罪記録と化学・解剖学を貯めこんだ頭脳。スレンダーな体に備わった敏捷性と体術。最良の友であり事件の記述役を務めるワトソン氏の存在。「無色の人生に流れる一筋の緋色の糸」の解明、これこそがホームズの知的欲求を満たす。そしてベーカー街221Bにヴァイオリンの音が響く。2019/01/02
stobe1904
81
【シャーロック・ホームズシリーズ第一弾】記念すべきシャーロック・ホームズ初登場の長編ミステリ。ホームズとワトソンの出会いから始まり、2人が直面したアメリカ人旅行者殺人事件の解決(Whodunit)が前半で、舞台をアメリカのユタに移してなぜ事件が起きたのか(Whydunit)を解き明かす後半パートで構成される。細かい事実認識など違和感があるが、後半の冒険活劇風の展開の妙と奇想をロジカルに解き明かす切れ味は抜群。当時の時代の息吹きを感じつつ、後世のミステリに多大な影響を与えた名作を堪能した。★★★★★2023/07/08
まちゃ
77
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの初登場作品(初版本1888年)を初めて手に取りました。新訳版なので読み易かったです。現在の事件と、その背景を描く過去の冒険物語の二部構成になっているのが興味深かったです。ホームズ自身が語る「緋色の研究」の由来が心に響きます。「人生という無色の綛糸(かせ糸)のなかに、殺人という緋色の糸が一筋まじっている。そしてぼくらの務めというのは、その綛糸をときほぐし、分離して、すべてを白日のもとにさらけだすことにあるのさ」2021/08/09
naoっぴ
76
ホームズシリーズの第一作。変わり者ではあるが、一度推理させれば細かな観察力と洞察力で、どんな事件も見抜く特殊な能力をもつホームズ。そのテクニックや性格が細かに描かれている。そんなホームズとシェアハウスをすることになる軍医・ワトソンとの記念すべき出会いの巻。今回の殺人事件は物語半ばで犯人確保。え、もう?と思ったところで物語はがらりと転換、事件の背景である過去へと遡る2部構成となっている。ミステリというより冒険的要素が多く、当時のロンドンの雰囲気も味わいながら楽しく読んだ。2021/05/17
とも
68
途中、違う本を読んでいるのかと思うこともあったが、そちらもドキドキ感が凄い。やはり古典として残っているものには力がある。2024/02/02