ミツハの一族

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  • サイズ B6判/ページ数 255p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488027469
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

未練を残して死ぬと、鬼となって水を濁す。その者を常世に送る宿命を背負った2人。大正時代の北海道を舞台に、水辺を守る一族を鋭く描いた著者渾身の連作ミステリ。

内容説明

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の徒兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う―。大正時代の北海道を抒情豊かに描いた、清艶なミステリ。

著者等紹介

乾ルカ[イヌイルカ]
1970年北海道札幌市生まれ。2006年に短編「夏光」で文藝春秋主催の第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2010年、『あの日にかえりたい』で第143回直木賞候補、『メグル』で第13回大藪春彦賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takaC

154
終わり方が予想外だったが冷静に考えると最善策なんだろうね。清次郎が納得して逝かれたのかどうかは不明だけど。 初出『ミステリーズ!』:「水面水鬼」Vol.63(2014/02)、「黒羽黒珠」Vol.65(2014/06)、「母子母情」Vol.66(2014/08)、「青雲青山」Vol.67(2014/10)、「常世現世」Vol.68(2014/12)2017/01/22

風眠

140
恥、慈しみ、情愛、望郷、そして背負う運命への懊悩。秘して語られない多くの感情が人間にはある。時にそれらは未練となって、死後、水を赤く濁らせる鬼の姿で立ち現れる。死者は何も持たず常世へと旅立たなければならない。けれど断ち切ることのできない強い想いが足枷となる。そんな死者の未練に寄り添い、諦めきれない想いの鎖から解き放ち、水源を浄化するのが「ミツハの一族」の役目。土着信仰、生きる者、死ぬ者。己の運命をどう生きるのかと問われているような気がした。大正時代の札幌というのも、この物語の儚さと美しさを際立たせている。2015/05/31

りょうこ

92
読みやすかった。でも最後に、は⁉️ってなる。なぜなるかは読んでのお楽しみ?最後の方が駆け足気味だったのが悔やまれる。うまくすれば続編もいけそうだったのになぁ。題材が良かっただけにちょっともったいない!なんて思ったり(笑)2015/11/30

ままこ

90
大正時代が舞台。不思議な力を持つミツハの一族「烏目役」と「水守」が「鬼」となった者の未練を探し出し、解消させ常世に送り出す。抒情豊かな幻想的ミステリ。清麗な「水守」に心を寄せる「烏目役」清次郎。暗く狭い世界に住んでいる水守に清次郎は〈知のひかり〉与えた。悲痛な願い。心のともしび。約束と光明。哀切で美しい作品だった。2019/05/04

けい

88
時代背景、設定の作りこみが非常に好みでした。時は大正、所は北海道、「烏目役」と「水守」、信心深い村人、やけに現実的な思考の登場人物達。容赦のない宿命と時の流れ。抗えない様々な物事に、抗いながら新たに抗えない物事を創り上げていく。そんな現実と非現実が混ざり合った不思議な読後感を与える短編集。2015/10/12

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