内容説明
父親で所長の浩一郎、長女で短大卒業後、父親の許で女性調査員として働き始めた加代子、次女で美術の方面に進みたい希望を持っている高校生の糸子、それに前作で蓮見一家と親しくなった好青年、諸岡進也…お馴染みの人たちが遭遇する五つの事件。本書は、そこに登場する様々な人間たちの実像に、あくまでも真っ向から立ち向かおうとする彼らの活躍をマサの目を通して語る、初短編集である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
*мiкi*
20
昨年から宮部みゆきさんの本を全て読みたいと思い色々てにとってまが、新年の1冊は軽やかな本を読みたいと…かわいらしいイラストの表紙にひかれ手に取りました。 カッコ可愛いまさの目線で結構入り組んだ事件が紐解かれていきます。 宮部さんデビュー10年目の作品とのこと。「マサ、留守番をする」が特に感情が渦巻き、色々想像でき楽しかった。 宮部さん自身のあとがきも文字を貪りました2023/01/10
星落秋風五丈原
20
「パーフェクト・ブルー」の続編。ジャーマン・シェパードの老犬マサと蓮見探偵事務所の面々が再登場。東京下町を舞台に元警察犬マサの目を通して人生の素晴しさをほろ苦さを描く連作短編集。蓮見探偵事務所の末っ子にして美術系志望の女子校生、17才の糸ちゃんが何とラブホから朝帰り?その原因を探ってみると…というのが表題作。1997/12/28
Junna.S
19
蓮見探偵事務所の優秀な調査員?老犬・マサの目線で描かれた短編集。「パーフェクト・ブルー」のスピンオフ的物語のようだが、前作を読んでいなくても、十分に楽しむことができる。取り扱う事件は決して軽くないものの、蓮見事務所の関係者によるやりとりや、マサのすっかりオヤジ目線のツッコミなどにクスリとさせられ、割とあっさり読みこなすことができる。最後には、あの有名人まで登場!? 大いに驚かせてもらえる内容だ。ハートウォーミングであり、逆に切なさも感じる、犬なのに人間臭い物語である。マサのような犬なら飼ってみたいと思う。2015/06/24
ぴゅーま
15
表題作と白い騎士は歌うは雑誌掲載やアンソロジーなどで既読だった。犬の視点によるミステリーだが、時々それを忘れそうになる。少年少女の描写が冴える宮部節。相変わらず読みやすい。2015/11/12
ままこ
13
元警察犬『マサ』が探偵事務所で活躍する短編集。タイトルの【心とろかすような】に登場する少女、末恐ろしい…。動物達が飼い主に対してどういう呼び方し、どういう感情をもっているのか、その表現が興味み深い。1番印象に残ったのが【マサ、留守番する】鉄工所の親父はとにかく、腹がたった。何か天罰が下ればいい!!『ハラショウ』の感情はギュッと胸が締め付けられた。2016/12/12