バルザック全集 〈21〉

バルザック全集 〈21〉

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  • サイズ A5判/ページ数 361p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488019211
  • NDC分類 958

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

119
『村の司祭』主人公のヴェロニックが、清純な娘で小説を読んで夢見るところ、父が選んだ結婚相手の男(ケチで成金だが心根は悪くない)とも持ち合わせる善意からそれなりに尽くす行動、しかし夫婦の寝室が別になってから元気になること、他の男の誘惑があるなど、『結婚の生理学』で述べた作者の考え方がよく出ている。話の要は人間としての心の有り様を説く司祭だろう。彼により死刑囚も罪人もヴェロニックも救われる。心の救済を求めてからの彼らの行動が、田舎の村を資源豊かな暮らしやすい緑の地帯と変える過程は、素晴らしい。(続く)2018/04/12

NAO

72
『村の司祭』心の中にとんでもない秘密を隠し持ち心の中の熱い思いは信仰とははるかに遠いところにあったにもかかわらず縋りつける場所が教会しかなかったということに、ヴェロニックの問題はあった。ずっとすぐ身近にいながら司祭たちは彼女の何一つ見抜けなかったのだろうか。だとしたら、やっぱりヴェロニックはとんでもない女性だったということなのだろう。村のために働く司祭の心がけは立派だし、だからこそ彼にすべてを打ち明けようとしたのだろうが、何一つ悔いてなどいない死に際のヴェロニックの言葉は果たして贖罪といえるだろうか。2019/01/28

Hepatica nobilis

12
「ルイ・ランベール」「海辺の悲劇」を再読。確かに素描的だが、珍しく作者らしき人物も登場して特別な作品だろう。願望充足の面もあったにちがいないが、バルザックの「天使」のような純粋な一面が透かし見える。「海辺の悲劇」の方も「ルイランベール」と併せて読むと感慨深い。2013/10/19

Hepatica nobilis

3
「村の司祭」:主人公ヴェロニクが幾多の障害を乗り越え、慈善と大規模な土地改良事業を興してユートピアを築いていく。伏線をあえて明かさない意図的な曖昧さも指摘される通りだが、バルザックの筆はここでも冴え、克明な描写を通じて、ヴェロニクという女を生々しく描き出す。題名と内容がそぐわない欠点など吹き飛んでしまう。これこそ「大文学」とでも言うべきか。フランスの文豪の無名な大傑作。

Hotspur

2
『村の司祭』。ド・グランヴィル検事が重要なサブ・キャラとして出演。バルザックの野心作。『ルイ・ランベール』。バルザックの形而上学。残念ながら楽しめたとは言い難い、研究者向け?『海辺の悲劇』。驚いたことに、ルイ・ランベールとポーリーヌのカップルが出演。『ベアトリックス』とブルターニュのル・クロワジックでつながっている。2018/10/18

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