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創元日本SF叢書
エクソダス症候群

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  • サイズ B6判/ページ数 275p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488018184
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

第1作『盤上の夜』、第2作『ヨハネスブルグの天使たち』が連続して直木賞候補となり、それぞれ日本SF大賞、同特別賞を受賞した驚異の新鋭が放つ、待望の第1長編
すべての精神疾患が管理下に置かれた近未来、それでも人々は死を求めた。
地球での職を追われた青年医師は、生まれ故郷の火星へ帰ってきた。かつて父親が勤務した、開拓地で唯一の精神病院へ赴任するが。精神医療とその歴史に挑む。

内容説明

すべての精神疾患がコントロール下に置かれた近未来、それでも人々は死を求めた。十棟からなるその病院は、火星の丘の斜面に、カバラの“生命の樹”を模した配置で建てられていた。ゾネンシュタイン病院―亡くなった父親がかつて勤務した、火星で唯一の精神病院。地球の大学病院を追われ、生まれ故郷へ帰ってきた青年医師カズキは、この過酷な開拓地の、薬もベッドもスタッフも不足した病院へ着任する。そして彼の帰郷と同時に、隠されていた不穏な歯車が動きはじめた。二十五年前に、この場所で何があったのか。舞台は火星開拓地、テーマは精神医療史。新たな地平を拓く、初の書下し長編。

著者等紹介

宮内悠介[ミヤウチユウスケ]
1979年東京生まれ。92年までニューヨーク在住、早稲田大学第一文学部卒。在学中はワセダミステリクラブに所属。2010年、囲碁を題材とした「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞の最終候補となり、選考委員特別賞である山田正紀賞に輝く。同作を表題とする『盤上の夜』は第1作品集ながら第147回直木賞候補となり、第33回日本SF大賞を受賞。さらに第2作品集『ヨハネスブルグの天使たち』も第149回直木賞候補となり、第34回日本SF大賞特別賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

150
宮内悠介3冊目です。考えてみたら寡作のせいもあって宮内悠介全単行本作品完読していました。火星を舞台にしているものの、あまりSFっぽくないせいもあって、3作の中では一番好みの作品です。科学技術は進歩するも、22世紀になっても人間の精神は進化しないのかも知れません。紀元前から2千年以上たっても、精神的にはほとんど進化していないと思うので、21世紀から22世紀にかけてほとんど変わっていないのも納得できます。2015/10/23

ダイ@2019.11.2~一時休止

125
火星移民の精神医療問題がテーマ。実際に地球で起こってきた医療問題が時をずらして火星で起こっていく?。面白かったのだがチョットあっさりしてる感が・・・。折角の初長編なんだからもう少し掘り下げて欲しかった。2015/07/15

みっちゃん

120
「正気の暗闇」全ての精神疾患がコントロールされても、理由なき自死が絶えない地球。ある不幸な出来事により、放逐されるように、故郷の開拓星、火星に戻った若き精神科医。技術も薬品も行き届かぬ、火星唯一の精神病院で、父が関わった25年前の事件、強い脱出衝動に駈られる「エクソダス症候群」を軸に描かれる彼の奮闘。淡々と突き放すような筆致は、彼の驚くべき過去とイメージが重なるが、正解は見えなくても、火星の過酷な環境に心を病む人々を救おうとする熱い心が感じられた。2015/09/18

ぶち

54
舞台は開拓途上の火星。物資が不足していて、地球と同水準の生活は維持できません。精神医療はまるで19世紀のように患者は独房に閉じ込められるばかり。医師たちは賭博に明け暮れ、看護師は言うことを聞かない患者を平気で鞭打っていました。火星でただ一つのその精神病院に、若き医師が地球から赴任してくるところから物語が始まります。そして、まるで精神医療の歴史を始めから辿っていく過程を、読者は目にします。健常と狂気の違いは社会情勢や政治によって容易に逆転してしまうことを考えさせられただけでも読む価値はあったと思いました。2018/10/08

おたま

52
近未来の火星で唯一の精神医療施設であるゾネンシュタイン病院。そこに精神科医のカズキ・クロネンバーグが赴任してくる。カズキには子供の頃に、火星にいたことがあり、父イツキ・クラウジウスが何等かの事件を起こした曖昧な記憶がある。カズキが火星にやってきたとき、「エクソダス症候群」という精神病が広がりつつあった。それは火星の環境からの脱出衝動を内包した妄想や幻覚を伴う一種の統合失調症のような病だった。そして、このエクソダス症候群に絡んで、何か不穏な動きが感じられる。思いもよらぬ方向に逸脱していくミステリーSF。2023/04/18

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