出版社内容情報
再会した英国人少年クリスと検閲官エノを待っていたのは、オルゴールを作り続ける孤島の洋館で勃発した連続不可能殺人だった! 著者渾身の巨編、〈少年検閲官〉連作第2弾。
内容説明
書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。追い詰められた二人を救おうと、突如現れた少年検閲官エノ。三人は、少女が追われる原因となった“小道具”をいち早く回収すべく、オルゴールを作り続ける海墟の洋館に向かったが…。そこで彼らを待っていたのはオルゴール職人たちを標的にした連続不可能殺人だった!先に到着していたもう一人の少年検閲官カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。待望の“少年検閲官”シリーズ最新作。
著者等紹介
北山猛邦[キタヤマタケクニ]
1979年生まれ。2002年、『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
128
少年検閲官その2。ミスリードもあるし、最後は流石に物理の北山って感じのトリックでした。それにしても犯人が意外すぎて、参りました。2014/12/07
だんじろー
95
がっちがちの本格。無理に新たなトリックを捻り出さなくても、組み合わせや見せ方によって、十分魅力的なミステリを生み出すことができる好例。特に第三の事件におけるトリックの奇抜さ、美しさたるや。加えて、検閲官をトリックに利用するなんざ、何とも大胆でおしゃれな発想。ラストの意外性も想定外。まあ、現実的にはとても実現できそうにないけど。2016/07/31
ひめありす@灯れ松明の火
70
北山さんの作品を読むと、何故か私は北限の村を想像してしまう。月明かりに照らされた蒼い雪、格子窓、赤く染まった頬とサンタクロース。抱きしめたい、とは違うけど、愛おしみたい物語。物理の北山さんらしいトリックの数々とモノクロームで退廃的なリリシズムが素敵な作品。だからオルゴールのモチーフがぴったり!ユユもエノもクリスもとっても可愛くて、なんだかスノードームの中を覗き込んでいる様な感じです。片山若子さんのイラストがとってもそれらしく控えめに色を添えています。このコンビ好きだー。トリックは、うん…家でも出来ますね!2014/12/31
ヒロユキ
55
終末的、幻想的な世界観にふんだんに盛り込まれた図入りの物理トリック。始まりの章で一気に引き込まれました。さらに今作はその北山ワールド全開な上に多重解決ものと濃ゆい内容です。3つの解決が用意されていて、当然偽の答えには一目に無理があったりするのですが、すべての解決がそれぞれの立場から見て意味を持ったものとして描かれているのが面白い。2015/10/03
hydrangea
55
シリーズ2作目、久しぶりの北山作品でしたが、この幻想的、終末的な雰囲気は変わらずいいですね。トリックも可否は別としても物理の北山を、改めて思い出させてくれます。刹那的なラストシーンも印象に残りました。次回作、いつ出るんだろー?2015/09/22