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海外文学セレクション
シャムロック・ティー

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  • サイズ A5判/ページ数 343p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016494
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ことによるといつの日か、自分が最初にいた世界へ戻れないともかぎらない。だから、とりあえず今は、そちらの世界について書きつけておきたいと思う。こんな言葉ではじまる奇妙な手記。めくるめく色彩の万華鏡、聖人たちの逸話、ヤン・ファン・エイクのアルノルフィーニ夫妻の肖像、ドイル、チェスタトン、ワイルド…。読み進むうちに、詩人カーソンが紡ぎ出す、交錯し繁茂するイメージの蔓にいつしか搦め取られる、摩訶不思議な物語。

著者等紹介

カーソン,キアラン[カーソン,キアラン][Carson,Ciaran]
1948年、北アイルランド、ベルファスト生まれの詩人・作家。ウィスキーを愛し、伝統音楽家としてフルートを演奏し、英語とゲール語の伝統歌謡も達者である。ノーベル文学賞を受けたシェイマス・ヒーニーに続く世代を代表する詩人として、ポール・マルドゥーン、メーヴ・マガキアンと並び称される存在である。エリック・グレゴリー賞、アイリッシュ・タイムズ文学賞、T・S・エリオット賞などの受賞も多い。現在も詩集の発表はもとより、2007年にはアイルランド古代の英雄物語『クアルンゲの牛捕り』の英訳を上梓するなど、活発な活動を続けている。クイーンズ大学シェイマス・ヒーニー記念ポエトリーセンター所長

栩木伸明[トチギノブアキ]
1958年、東京に生まれる。1987年、上智大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程単位取得退学。早稲田大学教授。専攻は現代アイルランド文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

92
面白い本だと思いました。さまざまな過去の人物や架空の物語などがわんさか出てきます。桜庭さんが解説で書かれているように「かわいい見世物小屋」という言葉がぴったりの作品だと思いました。ひとつの項目が数ページなので読みやすい気がするし、作者の蘊蓄がちりばめられていて好奇心が強い私などは大好きな作品です。同じ作者のほかの作品(「琥珀捕り」「トーイン」)を読みたくなりました。2022/10/25

紅はこべ

24
目次通りの色彩豊かな、綺羅、星のごとく、宝石のような輝きを放ち、植物園のごとく美しく咲き乱れ、たくさんの物語が詰まった、これ一冊で図書館のような本。物語が物語に繋がり、語り手で聞き手であった人物が、いつの間にか語られる人物となり、そして物語は循環する。ケルト系の幻想の力とカトリックの信仰が生み出した聖人達の物語、アイルランドだからこそ生まれた本。素敵な本です。本当宝石箱みたい。『琥珀捕り』も是非読まねば。ワイルドとコナン・ドイル、会ったことがあったのか!2015/04/16

syaori

19
素敵な本です。ヒ素系鮮綠から始まり、蒼穹やパッションフラワーなど色や花の名前の付いたたくさんの章から成っています。章ごとにヤン・ファン・エイクのアルノルフィーニ夫妻の肖像や聖人の逸話、ウィトゲンシュタイン、ワイルドとドイルなどについての話が語られ、くるくる回る万華鏡を見ているようです。一見つながりのないようなそれぞれの逸話が、いつしかシャムロック・ティーを巡る話に収斂されていき、最後は綺麗な円を描いてシャムロック・ティーを巡る物語の最初にたたずんでいるという「マカ不思議」な読後感も含めて面白かったです。2016/02/01

るすみら

18
一読、緑色のため息とともに、瞳から口から様々な色の煙やら鉱物やらがこぼれ落ちる。精緻な工芸品を思わせる物語の中に、カトリックの守護聖人たちの衣擦れの音が絶えず微かに響く一冊。ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻像」を軸に、ヴィトゲンシュタインやメーテルリンク、コナン・ドイルなどの魅力的な人々が生き生きと登場人物と語りあう。読後、目に映る色彩の輝きが増した気がし、夢にまで煌びやかな色が侵食してくるような本は初めて。 5月22日、望み無き人々の救い手、聖リタの日にして命日、A.C.ドイルの誕生日に記す。2009/05/22

きゅー

17
101章すべてに色の名前がつけられているように、「色」はこの物語の大きな要素となっている。そもそも、人が「色」を識別するにはAとBを区別し、そこで分割された要素について命名する必要がある。空は青く、山は緑。しかし、山の稜線は夕日を浴びて茜色に輝いているかもしれない。単純な目には単色に見える世界が、より高度な色彩感覚を持つものの目にはいくつもの光のグラデュエーションが見えるかもしれない。2017/06/23

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