パンドラの少女

ケアリー，Ｍ．Ｒ．【著】〈Ｃａｒｅｙ，Ｍ．Ｒ．〉/茂木 健【訳】

東京創元社（2016/04発売）

• サイズ B6判／ページ数 394p／高さ 19cm
• 商品コード 9784488010546
• NDC分類 933
• Cコード C0097

出版社内容情報

人間としての精神を失い、捕食本能に支配された〈餓えた奴ら〉により、社会が完全に崩壊したイギリス。荒廃した街で発見された、奇跡の少女メラニー。持たないはずのものをもつ健気な彼女は、この世界の救世主なのか？　ロンドンの北の隔絶した軍事基地で研究が進められるなか、緊急事態が勃発。メラニー、彼女が大好きな教師、科学者、兵士ふたりの極限の逃避行がはじまる――。一気読み必至、圧巻のエンターテインメント長編！　映画化決定。

内容説明

奇病の爆発的な蔓延“大崩壊”から二十年。人間としての精神を失い、捕食本能に支配された“餓えた奴ら”により、文明世界は完全に崩壊していた―。荒廃したイギリスの街で発見された、奇跡の少女メラニー。もたないはずのものをもつ健気な彼女は、この世界の救世主となりうるのか？ロンドンの北の軍事基地で、メラニーと、同じような特徴をもつ子供たちへの教育・研究が進められるなか、緊急事態が勃発。メラニー、彼女が大好きな教師、科学者、兵士ふたりの極限の逃避行がはじまる。一気読み必至、圧巻のエンターテインメント長編！

著者等紹介

ケアリー，Ｍ．Ｒ．［ケアリー，Ｍ．Ｒ．］ ［Ｃａｒｅｙ，Ｍ．Ｒ．］
１９５９年、イギリス・リバプール生まれ。オックスフォード大学セントピーターズ・カレッジで英語学を専攻。１５年の教員生活を経て、マイク・ケアリー名義でアメコミの原作を執筆。マーベル、ＤＣといったコミックスの大手出版社で、Ｘ‐メン等の多くのヒット作に関わる。２００６年にＴｈｅ　Ｄｅｖｉｌ　Ｙｏｕ　Ｋｎｏｗで作家デビュー。２０１４年発表の『パンドラの少女』が、アーサー・Ｃ・クラーク賞、ジェイムズ・ハーバート・ホラー賞の候補に選ばれる

茂木健［モギタケシ］
１９５９年生まれ。翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ゆかーん]

サイコミステリーと思っていたら、バイオホラーでした。2段組みの構成に圧倒されながら読み終えました。イギリスの街が謎のキノコ病原菌に侵され、ゾンビ化された世界の物語。次々にゾンビ化される人類ですが、唯一メラニーという少女は、ゾンビでありながらも人間的な感情を持ち合わせていました。彼女は壊滅的な世界の希望の光となるのか…。予想外のラストに驚かされました！正直、この手の話はハッピーエンドで終わって欲しかったのですが、最後が切ない終わり方でちょっと残念でした。ゾンビワールドに新たな生命の在り方を感じた一冊でした。

2016/07/19

[白のヒメ]

『カズオ・イシグロmeetsウォーキングデッド』という帯の言葉に惹かれて。人間がゾンビになってしまうことを文中では科学的に裏付けていて、それがあながち嘘だろうと一蹴出来ないところがジワリと怖い。絶望的な展開の中に残された希望には諸手をあげて賛同出来ないけれど、唯一の正しい道なのかもしれないと唸りながら読了。ゾンビ物のわりに非常に知的で上品という意味で、カズオイシグロという名があがっているのかしらん？

2016/06/20

[アキ・ラメーテ＠家捨亭半為飯]

人間の脳の捕食行動以外を停止させるする奇病のせいでゾンビ化した元人間「植えた奴ら(ハングリーズ)」だらけの世界。わずかに生き残った人間は周囲に頑丈な塀を築いた首都の中だけで暮らしていた。その首都から離れた研究施設で暮らす奇跡の少女メラニー。メラニーらを教育する教師ミス・ジャスティーノ、マッド・サイエンティスト、軍曹、兵士の4人が襲撃された研究施設から首都へと逃げる。その逃避行のハラハラ、スリル、人間模様、すっかり物語世界に入りこんで夢中で読んでしまった。

2016/07/23

[Ａｋｉ]

これは文句なしに面白かった。映画化されるようだが、あまり映像では見たくないような。シンプルな登場人物でグイグイと読ませる。そしてある種驚愕のラスト。邦題も秀逸。

2016/08/17

[リッツ]

映画を一本観た気分。主人公の少女がすごくいい！そして共に旅をすることになる4人の大人たちの人間性が次第に見えてきていつしか親しんでしまっていた。なんて酷い奴！と思っていたドクターでさえそのプロ根性というか徹底ぶりには最後は感服してしまった。そして後半は加速しハラハラしながらあっという間にラストへ。ああ…とふに落ちる、彼女は自ら憧れていたパンドラになる運命だったんだなと。絶望と希望がみえる世界、面白かった～。

2016/07/30