出版社内容情報
今まで印象派としてくくられてきたドビュッシー像を斬新にくつがえし,そのデモーニッシュな素顔を初めて明らかにした,新しい解釈の方向を指し示す画期的書。
内容説明
印象派の桃色の霧の奥にみえかくれするデカダンスの黒い影―鋭い切り口で従来のドビュッシー観を斬新にくつがえす。
目次
発端―ニコレ街(一八七一年秋;ヴァニエ夫人と艶なる宴;「黒猫」;一八八四年春―デカダン元年 ほか)
世紀末の終焉(ポーにもとづくオペラ;ドビュッシーの二律背反;色彩の選択;ジキルとハイドのドビュッシー;ドビュッシーとオカルティズム)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
noémi
4
何ともスゴい本。ドビュッシーは、印象派っぽい色彩に満ちた音楽だとずっと思っていた。私は象徴派のモローやルドンが好きだが、ドビュッシーがまさか象徴派的音楽をめざしていたとは、今の今まで露知らず…。マラルメ、ユイスマンスやポーから深い影響を受け、むしろ文学青年といったほうがぴったりの彼は、おそらく聴衆の怒りを恐れるあまり悪魔的な不協和音を作り出すことができなかった…。二律背反の苦悩。文学者でピアニストである筆者だからこそできる深い考察。ドビュッシーの曲には「完全な短調はない」とは、まさしく目からウロコだった。2011/09/13
Ryosuke Tanaka
0
かなり飛ばし読みだが、ドビュッシーはいかなる意味でも"印象派"ではないということは分かった。ドビュッシーの交友関係の中に音楽家よりむしろ詩人や文筆家ばかり登場するあたり、ナルホドなという感じ(著者も巻頭で述べているように、そういう面を強調しているのは間違いないのだろうけど)。2013/08/09