出版社内容情報
《訳者あとがき》より
『アンナ・カレーニナ』が世に現われて百有余年、その間どれほどの人々がどれほどの思いでそれを読んで来たことであろう! どれだけの涙がアンナのために流され、どれだけの人がレーウィンと共に信仰を求めて悩んだであろう! モナ・リザの微笑にも似た謎を湛えて我々においでおいでをするこの作品、晩年の漱石をして《これほど偉大な小説は未だかつて読んだ事はない》と嘆ぜしめたこの作品、もはや世界人類共通の所有に属するこの作品を、なるべく大勢の日本の読者に結び合わせる役割を、私の拙い翻訳が些かでも果たし得るならば、喜びこれに過ぐるものはないと思う。(一九七九年八月)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
30
上巻ではアンナとウロンスキイの破滅的な不倫と、キティとレーウィンのぎこちない純愛が平行して進行する。アンナの夫アレクセイや兄ステパンも含め、長短併せ持つ深みのある人物が続々登場し、だれに共感するかによって全体の印象ががらりと変わる。上流社会の華やかな暮らしぶりや、それと対極にある農村の実情、ロシア社会の抱える問題点などの描写も素晴らしく、深みも広がりもさすがのひとこと。バルザックの華やかさと複雑精緻なプロット、フロベールの心理描写、ディケンズの語り口の巧みさを併せ持っている、と思わず感服。[G1000]2017/01/04
バーベナ
4
北御門さんの訳すごく面白い。最近の訳かと思ったら、違うのね!!凄い。アンナの周りの人々が結構面白い。しかし、トルストイっておじさんなのに(多分)どうしてこんなに、未婚の女性:キティの気持ちがわかるんだろう。素敵な友人への憧れが、シュ~っとしぼむところなんて最高に乙女。2018/03/02
yuki
2
ずっと読みたいと思っていたアンナ・カレーニナ。しかも北御門さんの訳本です。まずは上巻。人間の光と影とがくっきりと浮かんできます。昨日から仕事が始まったのに…。心を奪われています。2019/01/05