出版社内容情報
東京の片隅に、慎み深く時に妖艶に佇みながら見守ってくれる仏さまを巡り歩いた、江戸観音巡礼の旅。
内容説明
古くから日本人に親しまれてきた観音さまは、人とともに喜怒哀楽の情をあらわす、いわばまだ悟りのきわみにいたらぬ修行途上の仏さま。殺伐とした東京のそこかしこ、そんな風情で、またときに妖艶に、ときにひっそりと慎み深く佇みながら、こちらを見守る観音さまや石仏を巡っての、経惟・日向子の愛の道行き。観音さまひとくちメモ、対談を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安南
34
〝「猫は生まれる前、人だったんじゃないかと思う」と猫飼いの友人がアタリメをかじりながら言う。「じゃ、どんな人間が猫に生まれ変わるんだ」とつっこむと、かなり自信ありげにゆったりと、「なんかいっぱい可愛いことした人だよ」ときたもんだ。さてこそおなぐさみ。せいぜい、いっぱい可愛い人生をすごして、いつか猫になろう〟江戸っ子2人の観音巡り。粋で、ちょっぴり寂しくて…じんわり温もります。あの世もこの世も大した違いはないなァなんて気分になりました。2014/02/21
青龍
16
この本を知った時には、既に絶版。Amazonで中古を探したら、高額。こまめにメルカリで探し、ようやく入手した。日向子先生と荒木氏が、東京の観音(観音に限らず、石仏が多い)を訪ね歩くというコンセプト。日向子先生を写したショットもあるけど、見事に風景に溶け込んでいる。日向子先生の早すぎる死が悔やまれます。2019/06/29
ツキノ
11
積読本-8 オークションだったか古書店だったか、ネット経由でついで買いしたこの本。手放さずによかった。1995年に「PR誌ちくま」に掲載され、1998年に出版。観音様や石仏がこんなところにも!という意外性がいい。コメントやつぶやきのようなエッセイも。いまでもあるだろうけれど周りの景色はずいぶんと変わっているだろうなぁ…2016/02/01
Koki Miyachi
6
アラーキーとヒナコ。フォトグラフィーとテキスト。絶妙のコンビ。しかし終始日向子さんが寂しげに見えたのが印象深かった。もしかして、日向子さんも観音様なんでしょ、アラーキーさん!2013/05/19
ながめ
3
久しぶりに良い本に出会えました。写真と文字で東京の観音様を巡り歩いているのですが、写真が良いわけではないし、文字が丁寧に説明してる訳でもない。でも、生き生きとした文章とちょっと粗っぽい写真が想像力とリアリズムをかもしだしてる。東京の中にある歴史を感じたい人には是非読んでもらいたい1冊です。2010/06/22