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双書zero
朝日平吾の鬱屈

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480857934
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

大正10年、青年朝日平吾は安田財閥の創始者を刺殺し自害する。彼が抱えた鬱屈と承認願望は現代にも通じるのではないか。その生涯を深く辿り直す、渾身の一冊。

内容説明

失敗の連続、満たされぬ思い、周囲への憎悪―。閉塞した時代を生きた、無名の青年・朝日が最後に選んだのは、単独テロ。やがてそれはテロの連鎖を生み、大いなる悲劇を招く。何が彼をそこまで駆り立てたのか?その軌跡を鋭く描く。

目次

第1章 若き日
第2章 大陸浪人
第3章 鬱屈
第4章 空回り
第5章 暗殺
第6章 テロルの時代

著者等紹介

中島岳志[ナカジマタケシ]
1975年大阪府生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。現在、北海道大学公共政策大学院准教授。学術博士(地域研究)。著書に『中村屋のボース』(白水社、大佛次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

入道雲

10
安倍晋三元首相の銃撃殺害、岸田文雄首相の爆弾襲撃、都立大宮台真司教授の襲撃。本書の最後で著者が懸念しているが、テロが起きて欲しくないという言葉に反して、時代も人も繰り返すのか。現代の諸々を社会の包摂力という言葉で改めて問い直さないといけないと感じる。2023/04/29

ポン・ザ・フラグメント

4
経済格差は執筆時よりも拡大しているだろう。鬱屈した人間も増えているはずだ。著者は朝日平吾の時代と2009の日本に相似を見ているが、社会はつねに鬱屈者を抱える。大正末とゼロ年代末だけが特別なピークではあるまい。おそらく鬱屈者に発散を促す社会思潮もつねに存在していて、鬱屈の原因を社会内部に見る思潮が強いとテロが志向される。依拠する思想は右の場合も左の場合もあるだろう。「希望は戦争」と「希望はテロ」は表裏の関係だが、やはりちがう状況だろう。排外的風潮はむしろ崩壊しかけている体制(内部)を延命させるのではないか。2015/08/23

さえきかずひこ

3
朝日は誇大妄想で人格障害の気があるように思った(林公一に分析してもらったら興味深そうだ)。また、日蓮宗を奉じるあたり宮沢賢治や石原莞爾ら近代独特のモダニストたちを連想せずにはおれなかった。非モテと実存的問題とイデオロギーとテロをつなぐ鎖が平易に明示された作品として特筆に値するが、中島の作品としては現代への歩み寄りが顕著かつ情緒過多であり、少々鼻につく点は否めない。2009/11/17

たらら

2
1921年9月に安田善次郎を刺殺した朝日平吾。大言壮語に取りつかれながら何ごとも為し得なかった男のテロが、原敬首相暗殺から浜口雄吉暗殺、血盟団事件、五・一五、二・二六へと繋がっていく。希望はテロ、と化してしまった朝日に思い入れるのは現代にとって示唆的ではあるが、いささか情緒的にすぎるか。朝日という人物から昭和維新の時代をもう少し丁寧に書いた方が良かったのではないか。2010/08/24

犬を飼っています。

1
青年テロリストの朝日平吾の人生を追ったノンフィクション。世間から認められず鬱屈した気分を金持ちの殺害に向けた哀れな青年の姿が悲しい。2019/07/14

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